大学でビラを配ることが犯罪なのか!? 斎藤郁真さん(前全学連委員長 )を返せ 全学連の弾劾声明
週刊『前進』04頁(3036号04面01)(2019/05/20)
大学でビラを配ることが犯罪なのか!?
斎藤郁真さん(前全学連委員長 )を返せ
全学連の弾劾声明
(写真 京都地裁前で抗議【5月14日】)
全日本学生自治会総連合(全学連)の前中央執行委員長である斎藤郁真さんが5月7日深夜、京都府警によって「建造物侵入」の容疑で不当にも逮捕されました。私たちはこの不当逮捕を徹底的に弾劾します。
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斎藤さんの逮捕容疑は、「昨年7月12日に京都大学構内に侵入した」というものです。京大では当時、全学自治会同学会がその中央執行委員会予備選挙を実施中であり、斎藤さんをはじめとする全国の学生有志は、同学会運営の手伝い(ビラまきや選挙事務のサポート等)を行っていました。このことを「建造物侵入」という犯罪に仕立て上げようとする警察および警察と結託した京大当局のあり方は、到底容認できるものではありません。
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今回の逮捕の本質は第一に、京大学生運動の全国的波及を恐れた政治弾圧です。京大山極壽一総長体制は2017年より、本格的な立て看板の規制や自治寮の廃寮攻撃に踏み出し、それと軌を一にする形で学生に対する無法な処分や学生の警察権力への売り渡しを繰り返してきました。これに抗議する学生に対しては、処分や逮捕あるいは職員によるパワハラで暴力的に黙らせようとしてきました。しかし、京大生の自由を求める不屈の運動はメディアなどを通じて全国に伝わり、いまや大学の自由を求め現代の大学を変革せんと志す全国学生を鼓舞し、その模範となっています。今回の逮捕は、この学生運動の再興に恐怖し、その中心となっている京大学生運動の圧殺を狙う警察権力による弾圧に他なりません。
今回の逮捕は第二に、京大での机上ビラ配布を「建造物侵入」とされて現在裁判中の3学生不当逮捕・起訴と完全に一体です。警察=京大山極総長体制は昨年11月、授業時間外の教室にビラを置く、自由な言論活動という大学にとって必要不可欠な行為を「建造物侵入」として、半年後に令状逮捕して犯罪に仕立て上げました。今回の斎藤さんの逮捕もまた、ビラまきすら犯罪とする一連の政治弾圧の一環にあります。
最後に今回の逮捕で核心的に問われていることは、学問・大学のあり方、批判を一切封殺する現代の大学のあり方です。京大当局は2017年、斎藤さんを含む十数名の学生を名指しにして「立入禁止」と宣言する張り紙を学内に掲示しました。目的は、秘密裏の軍事研究や学生の不当処分など京大当局の不正・腐敗が続々と発覚する中で、京大当局にとって都合の悪い人物、京大当局を批判する人物は学内への立ち入りすらも禁止し、京大生と全国学生・労働者・市民との運動が結合して共に京大当局を包囲することを阻止することにありました。
京大当局はいま、自治寮廃寮化にあたっても、立て看板規制にあたっても、異論・批判を暴力的に圧殺し、自らの権力を振りかざす姿勢を見せています。このような姿勢が、学問の府たる大学として許されるのか——これが今回の不当逮捕でもっとも問われていることです。
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京大に限らず、学生からの批判や異論をねじ伏せる大学運営は、新自由主義政策下の「大学改革」の中で全国すべての大学で問題となってきました。「国際競争力強化」の名の下に、大学は国家に奉仕するものへと変質させられ、いまや軍事研究が公然と行われようとしています。このような大学の行き着く先は、天皇制や植民地主義に批判的な教授を追放し、戦争に率先協力して多くの学生を死に追いやった戦前・戦中の大学です。そしていま、日本社会全体が、労働運動を圧殺して天皇制やオリンピックといった国家主義・排外主義を扇動し、80年前とそっくりの戦争への道を進んでいることを忘れてはいけません。今回の逮捕は京大だけの問題ではなく、日本全国の大学の問題、日本社会全体の問題として捉えなければなりません。
そしてもう一つ重要なことは、このような大学・学問のあり方は学生の決起で変革できるということです。京大でもこの間、無法な規制に対して不服従で立て看板を粘り強く出し続け、京大当局にペテン的にせよ一定の譲歩を強制しました。学生が立ち上がれば大学が変わる、労働者・学生を先頭に民衆が立ち上がれば社会が変わる——歴史はそのことを証明しています。杉並区議会議員選挙において、全学連の先輩である洞口朋子さんが新人にして上位当選を実現したように、闘えば勝てるのです。
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全学連はすべての人々に訴えます! 弁護士費用、裁判所や警察への弾劾行動に必要なビラ類の印刷費用、起訴された場合は保釈金等、極めて財政的に困難な闘いを強いられます。全学連に対してカンパの集中をお願いいたします。
2019年5月10日
全日本学生自治会総連合
委員長 髙原恭平
(一部略)