韓国 労働法改悪阻む 民主労総、ムン政権と対決 「労働組合つぶしは許さない」
韓国 労働法改悪阻む
民主労総、ムン政権と対決
「労働組合つぶしは許さない」
韓国では、民主労総(全国民主労働組合総連盟)を先頭に、社会の根底的な変革を求める労働者階級の新たな闘いが始まっている。パククネを倒した「ろうそく革命」で登場したムンジェイン政権が今や、労働者人民の「積弊清算・財閥解体」の要求を裏切り、資本家の政府としての本質をむき出しにしてきたからだ。その最大の焦点が労働法制の改悪だ。
労働基本権圧殺狙う攻撃に怒り
現在問題となっているのは、弾力勤労制(変形労働時間制)の拡大と最低賃金制度の改悪だ。弾力勤労制とは、資本が法定労働時間に縛られることなく一定の期間内で労働者を好き勝手に働かせることができるものだ。労働者は繁忙期に過労死レベルの強労働を強いられる一方、夜間手当なども支払われなくなる。
労働者の怒りをかきたてているのは、それを突破口に、財界が要求する労働基本権の全面解体を政府と与野党が受け入れ、パククネの時代にもできなかったようなとんでもない労組破壊攻撃に乗り出そうとしていることにある。そのすべてが、労働者が血を流して闘いとってきた権利を否定し奪い去ろうとするものだ。
まず、争議の際に労働者が職場を占拠することを禁止し、代替要員=スト破りの投入を無制限に認めろと要求している。職場を武器に闘うことを否定し、ストライキそのものを無力化しようというのだ。あわせて、使用者による一方的な団体協約解約の容認も検討されている。
極めつきは、資本家の行う不当労働行為に対する処罰条項の削除を公然と要求してきたことだ。その一方で、なんと労働組合による「不当労働行為」の認定と規制を求めている。組織拡大活動や産別交渉要求という労働組合にとって必須不可欠な行為を、労働者による「不当労働行為」と規定するものだ。資本による労組破壊を免罪する一方で、労働者が組合に団結して闘うこと自体を犯罪視するものであり、絶対に認められない。
「労働者による不当労働行為」という概念がすでに導入されているアメリカでは、労働組合が「労働者の『働く自由』を阻害する存在」とされ、さまざまな破壊攻撃がかけられている。政府と癒着した資本が狙っているのは、まさしく「労働組合のない社会」だ。
労働組合運動の存亡かけた決戦
これに対して、「労働者の闘いの歴史を一気に崩そうとしている」と、韓国の労働者の中に根底的な怒りが沸き起こっている。労働者階級が軍事独裁政権の打倒を通して命がけで勝ちとり、守りぬいてきた労働基本権と民主労組運動を破壊することなど絶対に許さないという怒りだ。
民主労総は、3・6ゼネストをもって労働改悪阻止の総力闘争に乗り出し、3月27日には労働基本権の完全獲得、非正規職撤廃などを掲げて国会前で1万人の全国労働者大会を開いた。そこでは、「労働3権を取り上げろとすること自体が民主労総と全労働者に対する全面的攻撃だ」の声が次々と上がった。金属労組のキムホギュ委員長は「もはや政権への糾弾を超えて、政権の退陣まで考えなければならない極めて重要な情勢」とし、「憲法すら無視する国会が労働3権と労働者の生存権を否定すれば、黙っていることは断じてできない」と、弾力勤労制の拡大阻止を突破口にムンジェイン政権との全面対決に入ることを訴えた。
4月1日からは国会正門前での籠城(ろうじょう)闘争が闘われ、この過程で国会に突入しようとしたキムミョンファン民主労総委員長をはじめ19人が連行されたが、全員の釈放をかちとった。そしてついに4月3日、臨時国会での与野党合意を実力で粉砕し、本会議への上程を阻止した。
しかし弾力勤労制の期間拡大と最低賃金法改悪をめぐっては、与野党の間に意見の相違はなく、近く新たな臨時国会が招集される見通しだ。労働法改悪阻止の闘いはまさに正念場を迎えている。
日本でも、安倍政権のもとでまったく同じ攻撃がかけられている。韓国の労働者の闘いは、私たち日本の労働者の闘いとひとつだ。国境を越えて労働者階級が闘いとってきた権利を守りぬこう。民主労総をはじめ全世界の労働者と団結してメーデーを闘おう。