満腔の怒りをもって抗議する 星野再審弁護団主任弁護人 岩井信弁護士

週刊『前進』04頁(3028号03面02)(2019/04/15)


満腔の怒りをもって抗議する
 星野再審弁護団主任弁護人 岩井信弁護士


 星野再審弁護団は、四国地方更生保護委員会による仮釈放をしないとの判断に抗議する。満腔(まんこう)の怒りをもって抗議する。
 私は普段、怒りの表現を使って抗議をしない。なるべく冷静にする。しかし、今回は違う。全身に怒りが充ち満ちており、満腔の怒りと表現するほかない。
 仮釈放は、刑務所長の申し出によって審理がはじまるので、所長が申し出をしなければ審理の対象にならない。しかし法務省の通達は、刑務所長の申し出がない場合でも、職権で義務的に、刑の開始から30年経過したら開始することになっている。
 星野さんにとって、次の義務的審理は刑の開始から40年後である。その時、星野さんは81歳。日本における男性の平均寿命は81歳である。
 逮捕から44年、徳島刑務所に移監されてから32年。その星野さんに、いま仮釈放をしないとすることは、刑務所で人生を終えろということである。四国地方更生保護委員会は「32年」という重みを、いったいどう受け取ったのか。
 私たちは、四国地方更生保護委員会がある高松に、ほぼ毎月通った。全13回。毎回10名が参加し、それぞれ思い思いの言葉で星野さんが釈放されるべきと訴えた。ある人は怒りを持って、ある人は淡々と、ある人は論理的に、ある人は実証的に。
 弁護団も毎回テーマ等を変え、意見書を提出した。高松で全国集会も開催した。新聞に全面の意見広告も出した。できることは全て取り組んできた。
 薄暗い接見室には色はないが、接見室での星野さんの言葉には瑞々しい色がある。今回はじめて、星野さんの身体が少し小さくなったように感じた。声は若くても、時は確実に経過している。
 星野さんは、暁子さんに「僕は逆境に強いから、こういうことがあるとかえって元気になるんだ。絶対に勝利するよ」と伝えている。
 この言葉は私たちが言わなければならない。
 時間は迫っている。今、やることは山ほどある。
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