防衛省が長距離巡航ミサイル 「敵基地攻撃能力」保有へ 9条改憲先取りする大軍拡

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週刊『前進』04頁(3024号03面03)(2019/04/01)


防衛省が長距離巡航ミサイル
 「敵基地攻撃能力」保有へ
 9条改憲先取りする大軍拡

相手の射程外から先制攻撃が可能に

 防衛省は、戦闘機に搭載する、国産の長距離巡航ミサイルを開発する方針を固めた。研究開発費を2020年度予算に計上し、数年以内の実用化を目指すとしている。岩屋毅防衛相が3月19日の会見で発表した。
 相手の射程外から攻撃する長距離巡航ミサイルは「スタンド・オフ・ミサイル」と呼ばれ、昨年12月18日に閣議決定された「防衛計画の大綱(防衛大綱)」に盛り込まれた。憲法上保有できないとされてきた「敵基地攻撃能力」に相当し、日本が攻撃を受けたかどうかにかかわりなく、他国に対して一方的に先制攻撃をしかけることが可能となる。改憲を先取りし、自衛隊の侵略軍隊化を狙う大軍拡である。

中国の「脅威」口実に侵略戦争を準備

 安倍・防衛省は中国や朝鮮半島への侵略戦争に突入することを、本気で想定している。実際に安倍は、昨年2月14日の国会で「(専守防衛は)防衛戦略として考えれば大変難しい。……先に攻撃したほうが圧倒的に有利だ」と述べている。
 新ミサイルは、すでに開発を終えた巡航ミサイル「ASM3」の射程を延長し、400㌔メートル以上の射程を目指す。ASM3は射程距離の短さ(約200㌔)から、18年度と19年度の防衛予算に調達予算が計上されていなかった。
 また防衛省はこれまでに、長距離対艦・対地ミサイルとして射程約500㌔のノルウェー製ミサイル、射程約900㌔の米国製ミサイルの導入を決めている。しかし、いずれも飛行速度がASM3より遅いことが問題視されていた。そうした中で、実戦で使える長射程ミサイル開発に踏み切ったということである。
 防衛省の長距離巡航ミサイル開発は、「国を守るための抑止力」「自衛隊員の命を守るため」という口実で強行されている。
 だが、本当にそうか?
 長距離巡航ミサイルは、「専守防衛」の建前すら投げ捨て、他国を直接攻撃できる能力を持つということである。「他国に対する脅威」以外の何ものでもなく、侵略戦争への突入を準備するものである。

「自衛隊員の安全」の大うそを許すな

 安倍は「中国の脅威」をあおっている。しかし、安倍が現在進めている大軍拡それ自身が今や東アジアに戦争の危機をつくり出す最大の要因となっている。
 防衛大綱は、自衛隊の装備・任務を抜本的に転換させる計画を打ち出した。長射程のミサイル開発、海上自衛隊の護衛艦「いずも」の空母への改造、ステルス戦闘機F35を米国から105機追加購入、地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージスアショア」2基を6千億円以上かけて購入することなどである。
 また、「中期防衛力整備計画」では今後5年(19〜23年)の防衛予算が現行計画から約3兆円増額し、過去最大の27兆4700億円となった。さらに安倍が原発の再稼働と核燃サイクルに固執するのは独自の核武装能力を保有するためである。こうした安倍の動きが戦争の危機をつくり出している。
 「自衛隊員の安全確保のため」もうそだ。戦争で自衛隊員に命を投げ出させようとしているのが安倍である。安倍は改憲によって憲法に「9条の2」を新設し、あらゆる侵略戦争を「必要な自衛の措置」として合憲化する。これを振りかざして、自衛隊員に「国家(実際には資本家階級の利害)を守るために命を差し出せ」と命令しようとしている。「自衛の措置をとるための実力組織」を憲法に明記することで、自治体や学校をはじめ全労働者、全国民に戦争協力を義務付け国家総動員態勢をつくることをたくらんでいる。
 戦争でもうけるのは一握りの資本家たちだけだ。他国の労働者民衆との殺し合いを強いられる戦争で、苦しめられるのはいつも労働者民衆だ。二度と戦争を許してはならない。戦争を阻む力は、戦争をしようとする自国政府を打倒する闘い、労働組合の職場での抵抗と団結、国境を越えた労働者の国際連帯にある。
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