消費税は撤廃を 人民の生存を脅かす悪税 労働者に負担強い大軍拡
週刊『前進』02頁(3015号02面03)(2019/02/28)
消費税は撤廃を
人民の生存を脅かす悪税
労働者に負担強い大軍拡
低所得者から収奪
安倍政権は今年10月に消費税の税率を10%に引き上げる方針だ。国会に提出された政府予算案も、それを前提に組まれている。消費税は、人々が生命と生活を維持するために必要な最低限の物品を購入する際にも必ずむしりとられる。所得が低く貯蓄する余裕のない人ほど、税の負担は重くなる。まさに人民の生存を脅かす悪税だ。消費税は撤廃する以外にない。
消費税は1989年4月に、税率3%で導入された。それは、国鉄分割・民営化が強行されて労働運動が後退し、連合が結成された年に重なる。消費税は、税制における新自由主義攻撃の始まりだった。
その後、消費税の税率は97年4月に5%に、2014年4月に8%に引き上げられた。現在の8%の消費税率のもとでも、労働者人民の生活はきわめて苦しい。それが10%に引き上げられたら、生きることもままならなくなる。
安倍の指示のもとに毎月勤労統計が偽造され、雇用保険や労災保険などで総計2015万人分・総額795億円も支給額が減らされていた事実が発覚した。こんなでたらめな政権に、税金を徴収する権限を与えてはならないのだ。
しかも安倍は、偽造されたデータで「18年の実質賃金は前年比0・2%増」「景気回復期間は戦後最長になった」とうそぶいて、10月の消費増税に突き進もうとしている。
冗談ではない。07年から17年の10年間で、企業の純利益は8・3倍に増えた。他方、大企業でも労働者の賃金は5%程度しか上がっていない。この間に、非正規職労働者の割合は4割を超えた。労働者の非正規職化は、消費税によって促進されてきた。大企業は、業務を外注化した上で、外注先の企業に消費税分もまかなえない安い業務委託費を強いることで、もうけを拡大してきたのだ。正規労働者を派遣労働者に置き換えても、同様の効果がある。
安倍政権が14年4月に強行した消費税率の引き上げは、消費の急激な減退をもたらし、14年度のGDP(国内総生産)成長率はマイナスに落ち込んだ。その時と比べても、世界経済の現状ははるかに危機的だ。
アメリカと中国の貿易戦争は、軍事的対立をはらみながら激化している。その中で安倍政権は、日本帝国主義の生き残りをかけて19年度政府予算案に5兆円を超える防衛予算を盛り込んだ。安倍政権下でますます乏しくなった労働者人民の懐からむしりとられた消費税は、大軍拡につぎ込まれる。
世界経済の分裂が始まり、中国経済の減退は日本にも波及している。08年のリーマンショックの時のような大量解雇がいつ起きてもおかしくない。そこに大増税がのしかかろうとしているのだ。
総反乱に立つ時だ
安倍は消費税増税の口実に「全世代型社会保障の実現」を掲げている。これ自体、医療や年金などの社会保障を解体し、公的部門を全面的に民営化するためのペテンだ。事実、消費税が社会保障のために使われたことなど一度もない。消費税の増税分は、法人税減税などの企業減税に回されてきた。消費税導入以来の消費税の総額と、法人税減税の総額はほぼ等しい。消費税導入直前には42%だった法人税の税率は、現在23・2%に引き下げられている。
さらに、消費税には輸出還付金という制度がある。自動車会社などの輸出企業は、下請け業者には消費税分をまかなえない納品価格を強制する一方、国税庁から膨大な輸出還付金を受け取ってきた。その額は17年度の場合、トヨタが3506億円、日産が1509億円と推定される。これは丸ごと輸出企業のもうけになる。しかも還付金は消費税率が上がるほど増える。
安倍政権は10月の消費税増税による景気の落ち込みを防ぐためとして、19年度予算案に2兆円規模の景気対策費を計上した。そのひとつに、消費者が中小商店でクレジットカードなど現金ではない決済手段で商品を購入した場合、5%をポイントで還元する制度がある。これも、実際には税金を投入して金融資本やIT企業の商機拡大を狙うものだ。住宅ローン減税や自動車税の軽減も、実質的には企業への補助金だ。
フランスの「黄色いベスト運動」は、燃料税の引き上げをきっかけに始まり、新自由主義の攻撃全体に対する反撃として発展した。日本でも、消費増税のたくらみを労働者人民の新自由主義への総反乱に転化する時が来ているのだ。