自治体の戦争動員拒否を 自衛官募集の義務化狙う安倍 名簿提出強制は徴兵制の先取り
自治体の戦争動員拒否を
自衛官募集の義務化狙う安倍
名簿提出強制は徴兵制の先取り
2月10日の自民党大会で安倍首相は「自衛官募集に6割以上が協力を拒否している」と自治体を攻撃し改憲での自衛隊明記を叫んだ。14日には党国会議員に募集名簿提出を地元市町村に求めろという通達まで出した。徴兵制の先取りだ。
沖縄の市議会をやり玉に
17日付琉球新報は「首相自衛官募集発言/自治体への不当な弾圧だ」とする社説を掲載した。「国会議員が自治体に圧力を掛けることなどあってはならない。政府の意に反する自治体への不当な弾圧を見過ごすことはできない」と弾劾。「自治体が名簿自体を提供することには批判の声がある。中には防衛省がダイレクトメールを送るための便宜として『宛名シール』などの紙媒体を作成し、提供している自治体もある。これこそ業務を逸脱していないか」とも批判した。
現に自民党は通達で「一部の地方議会では募集対象者情報の提供を行った行政側が謝罪を行う事態に発展し、看過できない」と強調している。その添付資料とされた2015年10月の琉球新報は、沖縄市と宜野湾市が自衛隊の求めに応じて住民基本台帳から18~27歳未満の約2万4千人分の氏名、生年月日、住所、性別を本人の同意を得ずに提供したと報道。また同12月の沖縄タイムスは両市が市議会で追及をうけ「市民に不安を与えた」(沖縄市)「配慮不足だった」(宜野湾市)と謝罪したことを報じていた。両市議会の対応は当然のことだ。しかし自民党はこの事実をやり玉に挙げて攻撃した。
ここに安倍発言の核心がある。9条改憲による自衛隊明記は「兵力確保の義務」、さらに「国防の義務」を発生させる。自治体による名簿提出が義務化され募兵業務が強制される。「国と自治体は対等」とする戦後地方自治は破壊され、国の行う徴兵制と戦争の下請け機関とされる。
生活保護家族に入隊迫る
自衛隊は現役の隊員だけで定数25万人に迫り、軍事予算が年5兆円を超える巨大な軍隊である。中国・北朝鮮、さらには韓国軍への軍事挑発が繰り返され、海外派兵も公然と行われている。「戦争放棄・戦力の不保持・交戦権の否認」を定めた戦後憲法に反する存在であることを絶対にあいまいにしてはならない。
しかし安倍発言で明らかになったことは、全国1741市区町村のうち18歳、22歳の住民名簿を自衛隊に提出している自治体が632(36%)あり、931自治体(53%)は住民基本台帳の閲覧を認めているという。これ自体が驚くべき数字だ。かつてはどの自治体もこれに反対してきた。個人情報保護条例などで抵抗する自治体もあるが、今やほとんどが募兵に協力しているということだ。
それだけではない。戦争のための軍隊としての本質が明らかになり、入隊を拒否する青年が増えて自衛隊の隊員不足が深刻化する中で、生活保護世帯の家族に自衛隊への入隊を求める自治体まで出てきている。「生活保護費削減のため」だというのだ。非正規職の拡大、低賃金化による貧困が社会全体を覆う中で、「貧困による徴兵」が現に始まっている。
安倍は大会演説で「地方自治体から要請されれば、自衛隊の諸君は直ちに駆けつけ、命を懸けて災害に立ち向かうにも関わらず」と強調して、自治体を攻撃した。しかし誰が全国の災害を深刻化させて、多くの犠牲者を出したというのか。すべては安倍を主犯とする新自由主義による地方の切り捨てと民営化、職員削減がもたらしたものではないか。公的インフラと住民生活の維持のために必要な予算を削りに削って、資本の金もうけと軍事費に回したせいではないか。
全国の被災自治体の労働者・住民から怒りの声が上がっている。
「2度と赤紙配らない!」
全国の自治体労働者、教育労働者の闘いが問われている。「2度と赤紙(召集令状)は配らない」「教え子を再び戦場に送らない」という戦後の誓いを今こそ実行する時だ。
安倍の「自治体戦略2040構想」は改憲と一体の地方自治破壊と民営化・職員半減・総非正規職化であり、労働組合根絶の攻撃だ。逆に労働組合が地域の結集軸となって立ち上がれば、攻撃は必ず打ち破ることができる。第3の分割・民営化に立ち向かう国鉄闘争とその百万人支援陣形の労働組合の闘いに労働者の未来がかかっている。ストライキで闘う労働運動をよみがえらせよう。
安倍は大会で「まなじりを決して統一地方選と参院選を戦いぬく」「立党以来の悲願である憲法改正に取り組むときが来た」と改憲宣言を再び発した。4月統一地方選で改憲と「国益」を押し立てた選挙戦を展開するとしている。それ以外ないほど追い詰められているということだ。
杉並区議選は、改憲・戦争、徴兵制を許さない真っ向からの決戦となった。徴兵制はなにより青年労働者への攻撃だ。青年・女性の代表、ほらぐちともこさんを先頭に、安倍への怒りを総結集し、絶対に勝利をかちとろう。