「学校の働き方改革」答申粉砕を 変形労働時間制で過労死促進

週刊『前進』04頁(3008号03面05)(2019/02/04)


「学校の働き方改革」答申粉砕を
 変形労働時間制で過労死促進


 中央教育審議会が1月25日、「学校における働き方改革」の答申をまとめた。その柱は残業時間の上限規制、年単位の変形労働時間制の導入、業務の適正化などである。これらは長時間労働の改善とは真逆の、戦後労働法制解体を狙う「もう一つの改憲」攻撃だ。以下、その内容を批判する。

戦争国家化と一体

 まず、答申の目的である。それは長時間労働の改善が第一義ではなく、あくまで「新学習指導要領への対応が大きな課題」(答申)であるということだ。道徳の教科化による「価値観」の刷り込みや英語の教科化、プログラミング教育、学力テストなどの「グローバル人材の育成」といった日帝が争闘戦に打ち勝つ戦争国家に飛躍していくための教育政策を貫徹するものとして、「教師の働き方の実態を改革」「『チームとしての学校』の機能強化」(答申)が打ち出されている。

8時間労働制解体

 その上で答申は、政府・文科省が多忙化の要因となる様々な業務を押しつけてきた責任を完全に居直って、戦後労働法制の解体と教育の民営化を提言した。
 その柱の一つが「残業時間の上限規制」である。そもそも教員は、給特法(教職員給与特別措置法)によって、基本給の4%の教育調整額と引き代えに労基法第37条の適用から除外され、残業代が原則支払われない。修学旅行など4項目を除いて、残業は「自発的行為」とみなされてきた。高度プロフェッショナル制度を先駆ける、この「定額働かせ放題」の仕組みは「過労死ライン」(月80時間)を超える残業を中学校で6割、小学校で3割も強いてきた。
 そこで答申は、部活指導なども勤務時間と認め、残業時間の上限を働き方改革関連法に即して原則「月45時間」と規定した(ただし罰則規定は除外)。だがこれは特例で残業月100時間、2〜6カ月の月平均80時間を認める、過労死促進のとんでもない方策だ。
 二つが「年単位の変形労働時間制」の導入だ。学期中の勤務時間を延長し、夏休みなどにまとめて休みをとるというものである。これは教員を含む地方公務員に初めて適用される。全労働者に対する8時間労働制の解体・一掃が学校を突破口に始まろうとしている。断じて許してはならない。 ちなみに教員は夏休み期間も研修・指導などでおよそ休める状況にない。結局、学期中の勤務時間だけが長くなることは明白だ。

教育の民営化攻撃

 三つが勤務時間削減のためと称する教員業務の仕分けだ。業務を部活指導や登下校の見守りなど14項目に細分化し、それを外注化したり非正規職に置き換えようとしている(「チーム学校」の推進)。公設民営学校設置の流れの中で教育の民営化・総非正規職化に本格的に踏み出すものだ。
 そしてこれら全てを推進するために、人事評価の基準に生産性向上を据えた。
 教育破壊の根本原因は新自由主義「教育改革」にある。国・資本のための教育を押しつけるために、組合と職場の団結を破壊し、教職員と保護者を分断し、非正規職化と評価制度で自由にものも言えなくして多忙化をつくりだしてきた。もの言えぬ学校こそ戦争動員の始まりだ。

教員は労働者だ!

 「持ち帰り残業を増やすだけ」「残業月45時間以内に減らすのはいばらの道」「100年前の労働者のような思いだ」(現場教員の声)。「学校の働き方改革」のペテンは暴かれ、「教員も労働者」との意識がよみがえり始めている。「正規の人員を増やせ!」——これが限界に達した現場の叫びだ。この叫びを労働組合に組織して闘おう。答申では各自治体で規制や条例を策定することを提言している。職場から「働き方改革」攻撃を撃ち、改憲・戦争を阻もう!
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