請求異議裁判 不当判決に怒り沸騰 農地取り上げ強制執行認める

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週刊『前進』04頁(3002号01面02)(2019/01/14)


請求異議裁判 不当判決に怒り沸騰
 農地取り上げ強制執行認める

(写真 反動判決言い渡し後、千葉地裁前は激しい怒りで満たされた【12月20日】)

 12月20日、三里塚芝山連合空港反対同盟・市東孝雄さんの農地をめぐる請求異議裁判で、千葉地裁民事第5部・高瀬順久裁判長は、市東さんの訴えをすべて棄却し、天神峰と南台の農地を奪う強制執行を認める極悪の反動判決を下した。
 この日、反対同盟と全国から駆けつけた労農学市民190人は、開廷を前に千葉市中央公園での総決起集会と地裁までのデモ行進を行い、法廷に臨んだ。
 午後2時、高瀬裁判長が開廷を宣し、直ちに判決を言い渡す。「主文、原告の請求をいずれも棄却する。本件につき当裁判所が出した強制執行停止決定は、これを取り消す」
 「ふざけるな」「農地強奪判決を許さない!」——傍聴者の怒号が飛んだ。
 裁判長は淡々と判決理由の要旨を読み上げる。「請求異議事由に該当せず、そもそも強制執行権の放棄の合意は認められない」「農地を転用して空港施設を整備することには公共性がある」「強制執行は権利濫用とは認められない」
 かつて空港公団(NAAの前身)は、「二度と強制的手段はとらない」と社会的に公言した。だがこの判決は、それを本件裁判とは「関係ないもの」と決め付けてNAAのダブルスタンダードを容認し、強制執行にお墨付きを与えたのだ。
 裁判長はわずか2分の言い渡しを終えて逃亡。
 裁判所正門前で待つ人々に結果が知らされると、怒りが爆発しシュプレヒコールがたたきつけられた。
 千葉県弁護士会館で報告集会が開かれ、最初に市東さんがあいさつに立った。
 「絶対に認められない不当判決であり、直ちに控訴しました。NAAがどんな攻撃をかけてきても、農地を絶対に死守するという気持ちでがんばります」
 続いて、葉山岳夫弁護士が控訴手続きと併せて東京高裁と千葉地裁に強制執行停止を申し立てたことを報告し、判決を弾劾した。
 翌21日、千葉地裁は強制執行停止決定を出した。これにより裁判記録が東京高裁に送られ係属部が決まるまでの間、暫定的に強制執行が停止となる。
 不当判決を打ち破り、市東さんの農地を守ろう!

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反対同盟が弾劾声明(要旨)

 本日、千葉地方裁判所民事第5部高瀬順久裁判長は、反対同盟員・市東孝雄さんの農地取り上げ強制執行を認める不当判決を出した。強制収用の不正義性ゆえに解散した千葉県収用委員会に成り代わって、千葉地裁が農民殺しに手を染める暴挙を断じて許すことはできない。満身の怒りをもって徹底弾劾し、成田市天神峰現地において農地強奪強制執行を実力で阻止することをここに宣言する。
 市東家が3代100年耕してきた農地は私たちの命そのものである。市東さんは安全な野菜を作り届けることを誇りとして、日々精魂込めて土づくりに励んできた。農民の生きがいと生存権・営農権を奪うことは悪逆非道の暴挙である。
 今回の農地強奪判決は安倍政権の進める改憲・戦争攻撃と一体のものである。侵略戦争の反省から生まれた憲法と農地法を裁判所が破壊し、戦争国家化を推し進めることは絶対に認めることはできない。
 しかし、危機に追い詰められているのは成田空港会社であり国の側だ。空港機能強化と称する新たな空港建設の攻撃に対して空港周辺住民が陸続と決起を開始している。
 われわれは、「軍事空港絶対反対・農地死守」を貫き続けてきた地平から、ふたたび「日本農民の名において収用を拒む」実力闘争をたたきつけるのみである。
 辺野古新基地建設と闘う沖縄、原発再稼働・被ばくの強制と闘う福島と共に、「国策」の名において命を踏みにじる棄民政策、戦争政策を強行する安倍政権を打倒し、「この地で耕し続ける」と宣言する市東さんを守り抜き、勝利するまで闘う決意である。
2018年12月20日 三里塚芝山連合空港反対同盟
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