大阪万博はカジノと一体 五輪に続き国威発揚し改憲狙う
週刊『前進』02頁(3000号02面02)(2018/12/20)
大阪万博はカジノと一体
五輪に続き国威発揚し改憲狙う
人命を奪う資本が「いのち輝く」唱え
万博(万国博覧会)は、資本が最先端の科学技術、文明を大衆に見せ、欲望をかきたて、売り、もうけ、延命するためのショーだ。安倍政権や大阪府・市当局は、2025年大阪万博を2020年東京オリンピックに続く景気浮揚策の目玉にしようとしている。今や世界は10年に及ぶ大恐慌―大不況のどん底にあり、帝国主義間・大国間の争闘戦がそれに拍車をかけている。だから、万博のためのインフラ整備事業に資本主義の延命を求めざるをえないのだ。だがそれも麻薬中毒と同じで景気浮揚策としては効かなくなる。
日帝・安倍政権と大阪維新、経団連・関経連は、東京五輪・大阪万博で日本の国威を発揚し、「クール・ジャパン」「日本はすごい」という幻想をあおり、排外主義、優越感を植えつけようとしているのだ。
万博とオリンピックはいつもセットだ。1798年のパリ産業博覧会では優れた製品に金、銀、銅の杯が授与され、1900年にパリ万博と同時開催されたパリ五輪以来、金銀銅メダルが授与されるようになった。1940年に同時開催する予定だった日本万博・東京五輪は、侵略日帝の国威発揚のためのものだった。1964年東京五輪―70年大阪万博は、日帝の復活を国際的に認知させるために行われた。
2020年東京五輪―25年大阪万博は、脱落日帝の絶望的な延命策だ。レガシー(遺産)になるのはカジノと瓦礫(がれき)、巨額の負債だけだ。
2025年大阪万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」だ。それは、資本が医療・健康産業の新技術・新製品を開発・出品し、大量に売りつけ、もうけることを意味する。もうからない通常の医療や介護、病気予防のための予算は削り、戦争と貧困で最低限の医療や栄養も与えられず死んでいく人々を何億人も生み出している帝国主義が、「いのち輝く」などと言うのはペテンだ。
万博会場予定地の夢洲(ゆめしま)は放射能で汚染されている。夢洲は1977年に大阪市が上下水道など公共事業で生じた残土を処分するために埋め立て始めた人工島だ。長年、工事で出た産業廃棄物を土砂に混ぜて埋めてきた。2012〜13年には住民の強い反対を押し切り、東日本大震災で生じた岩手県の放射能を含む瓦礫を埋め立てに使った。安倍政権は極秘裏に、東日本の1㌔グラム8千ベクレル以下の放射能汚染土を全国で再利用する計画を立ている。それが夢洲の埋め立てに使われる可能性は高い。まさに土壌汚染で毒物が噴出する東京・豊洲中央卸売市場と同じだ。
事業費調達の計画もまさに「ばくち」
大阪府・市、関西財界は夢洲に万博とカジノを誘致する意向だ。夢洲を新都心の一部にする計画はバブルがはじけて不可能になり、2008年五輪の大阪誘致も失敗した。地下鉄中央線を夢洲などの人工島に延伸する計画も、450億円を投じて海底トンネルを造った時点で中断、凍結となった。自動車用の「夢咲トンネル」だけ開通している現状を、万博とカジノで突破しようとしているのだ。万博の整備事業費は2千億円。その中で地下鉄の延伸など関連事業費が730億円かかる。そのうち200億円をカジノを中心とするIR(統合型リゾート)事業者に負担させようとしている。夢洲の一角で2024年までにIRを開業させ、その収益を万博整備につぎ込むのだ。
IRの大阪誘致はなんら決まっていない。万博の整備事業の成否もばくちなのだ。だが松井一郎大阪府知事、吉村洋文大阪市長ら改憲勢力の大阪維新を安倍政権が取り込むために、IRの大阪誘致を決める可能性はある。改憲と戦争、日帝の延命のための大阪万博はぶっつぶす以外にない。