「侵略軍隊化」の防衛大綱 日帝が「空母保有」を宣言 敵基地攻撃能力確保が目的
「侵略軍隊化」の防衛大綱
日帝が「空母保有」を宣言
敵基地攻撃能力確保が目的
12月13日、「防衛計画の大綱(防衛大綱)」の見直しに向けた与党のワーキングチームは、政府が11日に示した大綱案と「中期防衛力整備計画(中期防)」案を了承した。18日にも閣議決定する見通しだ。安倍は昨年来、改憲への動きと並行して、防衛大綱の「従来の延長ではない大胆な見直し」を要求してきた。改憲を先取りする形で自衛隊の侵略軍隊化を進めるのが狙いだ。
高額最新兵器導入を列挙
防衛大綱の改定と中期防の策定はいずれも2013年以来5年ぶりとなる。中期防の予算総額は現計画から3兆円近く増額し、過去最大の27兆4700億円。しかもその内容は、自衛隊の任務・装備を抜本的に転換するものだ。
最大の転換の一つは、海上自衛隊の「いずも」型護衛艦の事実上の「空母化」を明記したことである。従来の政府見解では、憲法9条との関係で「攻撃型空母」は保有できないが、「いずも」型は戦闘機を搭載できない「ヘリコプター搭載護衛艦」だから空母には当たらないと強弁してきた。だが今回の防衛大綱では、これを戦闘機搭載可能に改修した上で、「空母」「母艦」といった表現を避け「多用途運用護衛艦」「多機能ヘリ搭載艦」などと呼称するとしている。
防衛相・岩屋毅はこれについて、「他に母基地がある航空機を時々の任務に応じて搭載するのは『攻撃型空母』には当たらない」と述べ、憲法9条との「整合性」を取り繕った。防衛大綱でも、戦闘機は常時搭載せず「必要な場合に運用する」としている。だがこれは運用次第でいつでも「攻撃型空母」として使えるということにほかならない。
これと一体で、米国製ステルス戦闘機F35を新たに105機購入する方針が中期防に盛り込まれた。すでに購入を決めた42機を含む計147機のうち、42機が改修後の「いずも」での運用を想定した短距離離陸・垂直着陸型のF35Bだ。
F35は「金食い虫」などと呼ばれる米史上最も高額な戦闘機で、米国防総省ですら「高すぎて負担できない」と頭を抱える。購入費用だけでF35Aは1機あたり約100億円、F35Bは約150億円と見込まれ、105機で総額1兆2600億円超。保守・維持費用などを含めるとさらに数倍に膨れ上がる。F35は開発過程では完成期日が繰り返し延期された上、量産後も技術的問題が966件、うち「安全性や重要な性能を危険にさらす問題」は111件に及ぶことが米政府監査院から報告されている。
さらに大綱は、地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」導入のほか、「敵基地攻撃能力」については明文化を避けながら、それに相当する兵器の開発・保有を明記。すでに決定した射程900㌔の巡航ミサイルの導入に加え、マッハ5以上で飛行する「極超音速誘導弾」や「高速滑空弾」など、長射程の新型ミサイル開発とそれらを運用する陸自部隊の新設も盛り込んだ。
最後は徴兵制に行きつく
今回の大綱で今一つ特徴的なことは、自衛隊の「人的基盤の強化」を明記し、隊員の確保や採用年齢の引き上げ、処遇改善などを打ち出したことだ。陸自の隊員を15万9千人規模で維持することも盛り込んだ。
自衛隊の採用計画は4年連続で目標を下回り、今年10月には自衛官候補生の採用年齢上限を26歳から32歳に引き上げた。だが、安保戦争法の施行に伴う任務の拡大、訓練や演習の激化、負傷・死亡事故の急増、さらには実際に戦場に動員されることへの拒否感から、志願者の急激な減少が続いている。特に海自は深刻で、17年度の候補生の採用数(男子)は募集計画の59・9%にとどまった。
安倍・自民党の改憲案は、新設する「9条の2」で、「必要な自衛の措置をとる......そのための実力組織」として自衛隊を保持することを明記する。これにより、自衛隊の兵員や軍備を「必要な自衛の措置」をとれるように維持し続けることが、憲法によって国に義務づけられることになる。すでに防衛省は自衛官候補生の採用年齢に相当する人の氏名や住所などの情報提供を各自治体に依頼し、人材確保に必死になっているが、改憲が強行されれば自治体や学校に個人情報の提出などが義務づけられ、自衛隊の広報官は学校に乗り込んで隊員募集を行うようになる。その先にあるのは本格的な徴兵制だ。だがこれは自治労・日教組をはじめ戦争に反対する労働組合を解体・一掃することなしには成り立たない。
改憲とは「戦争する国」に向けて社会のすべてをつくりかえる攻撃である。闘う労働組合を先頭に「改憲・戦争阻止!大行進」をさらに大発展させ、戦争に突き進む安倍を打倒しよう。
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新たな防衛大綱と中期防の骨子
・「いずも」型護衛艦を改修し戦闘機搭載可能な事実上の空母に
・米国製戦闘機F35を105機追加購入
・「イージス・アショア」2基購入
・「極超音速ミサイル」や「高速滑空弾」など新型長射程ミサイルを開発
・海中を自動航行する無人潜水艦開発
・サイバー防衛部隊の補強や宇宙監視部隊の新設など新領域の拡充を図る
・「統合幕僚監部の機能強化」を明記し自衛隊の部隊運用と作戦立案を一元的に担う「統合作戦室」を新設
・自衛隊の「人的基盤の強化」へ採用年齢上限引き上げや処遇改善を明記
・陸自隊員15万9千人規模を維持