国鉄1047名解雇撤回へ 労働委制度解体許さず新たな訴訟
国鉄1047名解雇撤回へ
労働委制度解体許さず新たな訴訟
事実調べを拒否し忌避も不当に却下
国鉄分割・民営化による国鉄労働者の解雇の撤回を求めて動労総連合が起こした千葉県労働委員会での闘いは、緊迫した攻防が続いている。
9月10日に行われた第2回調査で、千葉県労委の村上典子公益委員は、事実調べも行わず審査を打ち切ると表明した。労働者を救済するための独立した行政機関として設けられた労働委員会の役割を自ら否定する暴挙だ。動労総連合の代理人弁護団は、直ちに村上公益委員の忌避を申し立てた。だが、千葉県労委は9月27日、忌避申し立てを却下すると決定した。
これに対し動労総連合は10月22日、忌避申し立て却下決定の取り消しを求める行政訴訟を千葉地裁に起こした。併せて、この行政訴訟の判決が確定するまで、千葉県労委での審査を停止することを求める仮の義務付けの申し立てを行った。
その行政訴訟の第1回口頭弁論が、来年1月22日午前10時30分から千葉地裁で行われる。国鉄1047名の解雇撤回をなんとしてもかちとるために、この裁判闘争に集まろう。
新たに始まった行政訴訟には、動労総連合の代理人として全国から47人の弁護士が名を連ねた。労働委員会制度の解体に対する激しい危機感と怒りが、大弁護団の結成に至ったのだ。
不当解雇撤回する責任はJRにある
国鉄分割・民営化に際して動労総連合組合員をJR採用候補者名簿から排除するために作られた「不採用基準」は不当労働行為だ。国鉄を引き継ぐとされた鉄建公団(現鉄道運輸機構)を相手に動労千葉が起こした裁判で、最高裁が15年6月に出した決定は、このことを明確に認定した。
この不採用基準は、JR設立委員長だった斎藤英四郎(当時、経団連会長)が策定を命じ、国鉄職員局次長だった葛西敬之(現JR東海名誉会長)が具体案を作り、JR設立委員会会合で正式に決定された。葛西の指示で動労総連合組合員の名前をJR採用候補者名簿から削除する作業を行ったのは、現JR東日本社長の深沢祐二だ。
国鉄改革法は、「JR設立委員の行った行為はJRの行為」と規定している。不採用基準が不当労働行為であり、不採用基準を作ったのが設立委員であれば、JRは当然、不当労働行為による解雇を撤回しなければならない。
しかし千葉県労委は、「労働委員会は最高裁判決に反する命令は出せない」と言い、審査を打ち切った。県労委が言う最高裁判決とは、国労などの事件で03年に出された「不当労働行為があったとしても責任は国鉄にあり、JRは責任を負わない」という反動判決だ。だが、この最高裁判決すら「JR設立委員が不当労働行為を行った場合は別として」としている。
動労総連合は、JR設立委員会が不採用基準を作ったことを示す明確な証拠をもとに、千葉県労委に申し立てた。事実調べに入れば、これまで国鉄労働者1047名の解雇撤回を拒んできた一切の枠組みは崩れる。それを千葉県労委は恐れたのだ。
そこには明らかに、国家権力中枢の意思が働いている。これは、全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部への度重なる弾圧と並び、改憲のために労働組合を一掃する攻撃そのものだ。
改憲狙う労組解体攻撃に反撃しよう
JR東労組の解体も首相官邸の指示で強行された。JR資本は東労組組合員に対するあからさまな脱退強要を繰り返しながら、東労組本部を使って労働委員会への申し立ても取り下げさせた。他方、動労総連合に対しては、労働委員会に申し立てても、事実調べもせずに切り捨てるという形で襲い掛かっている。
だがそれは、国鉄1047名解雇撤回闘争が、改憲と対決する最大の攻防点であることを示している。この闘いを粘り強く貫こう。