三里塚新やぐら裁判 墨塗り文書全面開示せよ NAAを追及
週刊『前進』04頁(2995号03面04)(2018/12/03)
三里塚新やぐら裁判
墨塗り文書全面開示せよ
NAAを追及
11月26日、千葉地裁民事第2部(内田博久裁判長)で新やぐら裁判が開かれた。この裁判は、市東孝雄さんの天神峰農地に建つやぐら・看板などの四つの物件について、成田空港会社(NAA)が三里塚芝山連合空港反対同盟に対し「収去と土地の明け渡し」を求めて提訴したものだ。だがNAAにそんな請求をする資格はない。市東家に無断で行った空港公団(NAAの前身)による旧地主からの土地取得・買収が、農地法違反で無効だからだ。
NAAはこの間、「土地取得」にあたって旧地主・岩澤と交わした「覚書」を開示したが、これには部分的に墨塗りがされている。この隠された部分をすべて開示するよう求める反対同盟側に対してNAAはこの日までに、「今後の用地買収交渉の妨げになる」と拒否の姿勢を表した。
開廷早々弁護団が「今後の買収交渉と言うが、空港のどこの用地を取得しようとしているのか」「空港のどの計画にかかわる取得なのか」と鋭く追及すると、NAA代理人の和田衛は「土地の売買金額に影響するから明らかにしない」と繰り返した。そんな具体性が皆無の答弁では、墨塗りの正当化にはならない!
内田裁判長は「これ以上の説明を求めない」とNAAの態度を容認し、これに対して傍聴席からは怒りの声が上がった。
さらに弁護団は、天神峰農地について、空港公団が市東家との間で権利消滅補償契約を結んでいたのかを問いただしたが、NAAは答えを先送りした。憲法第29条では「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用いることができる」とあるが、市東家に対して公団は何ら「正当な補償」をせずに土地を「取得」し賃貸借契約を解除した。そして「あとで離作補償を支払えばいい」と開き直る。重大な憲法違反だ。
次回期日を3月4日と確認して閉廷した。
千葉県弁護士会館で報告集会が開かれ、伊藤信晴さんが司会を務めた。葉山岳夫弁護士をはじめ弁護団が法廷での応酬を解説し、この新やぐら裁判が強制執行を阻む重要な位置にあることを再確認した。
動労千葉の滝口誠さんと「市東さんの農地取り上げに反対する会」が連帯発言を行った。最後に反対同盟決戦本部長の太郎良陽一さんが、12・20請求異議裁判判決に向けての総決起を熱烈に訴えて締めくくった。