米トランプの移民排斥弾劾 中米難民の「生きる行進」に連帯を

週刊『前進』04頁(2993号03面01)(2018/11/26)


米トランプの移民排斥弾劾
 中米難民の「生きる行進」に連帯を

(写真 今年4月には多くの米市民が歓迎のボードを掲げ、中米から到着した難民が国境の壁を越える現場に集結した【米カリフォルニア州サンディエゴ】)

国境に軍を派遣し虐殺すら狙う

 トランプ米大統領は露骨な差別・排外主義者として登場した。ムスリムが多い7カ国からの入国禁止などを掲げたが、もっとも力を入れたのが「中南米・メキシコ人は麻薬ギャング」「国境に壁を建設する」という扇動だ。今年春からは、「無数の移民のキャラバンが米国を侵略するために押し寄せてくる」「中東のテロリストがキャラバンを組織している」というデマを連発。11月の中間選挙の直前には5千人以上の米軍部隊を派遣し、「キャラバンから投石があれば銃で応戦する」と言い放った。
 アメリカのマスコミは連日「7千人の移民キャラバン」の映像を流した。トランプを批判するようなことを言いながらも、実際には「移民急増への危機感」をあおり、トランプの「不法移民排斥」運動を助けるものとなったのだ。

米帝による侵略が難民を生んだ

 「『移民』キャラバン」と報じられているが、ほとんどがホンジュラスなどからの難民だ。長大な行路を、炎天下や酷寒の中で子どもを連れて徒歩で進むのは並大抵のことではない。ホンジュラスで戦争と2009年の軍事クーデターでの大虐殺が行われ、全域が破壊されなかったならば、キャラバンもなかったはずだ。
 軍事クーデターはオバマ政権時代に米軍主導で行われた。マヌエル・セラヤ大統領は資本家・地主の利益代表だったが、労働者・先住民の闘いに直面して最低賃金引き上げなどの譲歩をした。それで米資本はセラヤを攻撃したのだ。以来、先住民の活動家を始め多くの人々が虐殺されている。また民間右翼・ギャングが育成され、世界でもっとも人口当たりの殺人数が多い国にされた。「キャラバン」は、トランプだけでなく米帝支配階級全体による侵略戦争の問題だ。

安価な労働力の確保こそが目的

 現在、新自由主義40年の労組破壊・生活破壊、地域社会全体の荒廃に対して、労働者階級の闘いが爆発的に拡大しつつある。2月にウェストバージニア州で始まった全州学校ストは、たちまち他州に広がっている。この団結力に震え上がった支配階級は、トランプを先頭にして差別・排外主義で労働者階級を分断しようと必死になっている。
 そして、難民・移民への攻撃は、安価な労働力の確保のために行われている。外国人労働者に労働許可証がないまま滞在・就業せざるを得ない状態を強いれば、都合のいいときは許可証について不問に付し、解雇したいときは問題にすればいい。送還してしまえば、未払い賃金の請求さえ事実上できなくなる。
 世界最大の豚肉加工業者スミスフィールドの巨大食肉加工工場の門には、メキシコ国境から直通のバスが横付けされる。移民税関捜査局は、そこで雇用される労働者が密入国業者に連れてこられ許可証を持たないことを承知の上で何も言わない。だが工場長から通報があると直ちに作業場に入り、許可証提示を求め、全員強制送還だ。労働組合結成への動きを疑うと、当該の労働者だけでなく、その職場を丸ごと入れ替えてしまう。こうして安価な労働力を確保する。

労働者の団結で世界を変えよう

 現在アメリカには許可証保有の中南米系労働者が5500万人、無許可証移民労働者が1100万人いる。この1千万人を超える解雇自由・ウルトラ非正規雇用の労働者を抜きに米経済は成り立たないのだ。
 それを示したのが、06年から始まった移民メーデーだ。全米で1千万人近い移民労働者がメーデーに参加し、実質的なゼネストになった。食肉加工工場もレストランも止まった。解雇自由で団結を完全破壊したはずの所が、逆にアメリカ帝国主義のアキレス腱(けん)になったのだ。これまで労組結成に挑戦するたびにつぶされてきたバージニア州のスミスフィールド工場でも、08年ついに労組結成に成功した。
 労働者階級に国境はない。団結で、必ず世界を獲得できる。何より、安倍政権は入管法改悪によりトランプとまったく同じ攻撃に打って出ようとしている。絶対に粉砕しよう。

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