新札幌駅で信号機倒壊 分割・民営化の破綻示す事故

週刊『前進』04頁(2993号02面04)(2018/11/26)


新札幌駅で信号機倒壊
 分割・民営化の破綻示す事故

急ブレーキかけ10㍍手前で停止

 JR北海道の千歳線・新札幌駅構内で11月9日午後0時40分ごろ、信号機の支柱が根元から折れ、線路上に倒壊する大事故が起きた。信号機が倒れているのに気づいた札幌発苫小牧行きの上り普通列車の運転士は、約10㍍手前で列車を止め、事なきを得た(写真)。信号機は支柱と合わせて高さ約5㍍、重さ約220㌔で、もしこれに電車が衝突したら大惨事になるところだった。
 報道では隠されているが、信号機が倒壊する直前の0時37~38分ごろには、苫小牧発札幌行きの下りディーゼル列車が現場を通過していた。燃料を積んでいるディーゼル列車の通過中に信号機が倒れていたら、事態はさらに深刻なものになっていたはずだ。
 信号機の支柱を土台に固定する8本のアンカーボルトは全て抜けていた。アンカーボルトは、ボルトを差し込むアンカーという部品の裾が広がることで固着力を強める仕組みだが、アンカーは8本とも、裾が広がっていない状態だった。
 JR北海道は、この信号機について、6月11日の定期検査と、北海道東部地震後に行われた9月6日の点検で異常は見つからなかったという。しかし、現に施工上の手抜きによって、この事故は起きた。

地方線は廃止しリニアに3兆円

 事故の根本的な原因は国鉄分割・民営化にある。北海道では民営化された鉄道が収益を上げられないことは分かっていた。だからJR北海道は設備の更新を行わず老朽化するに任せた。鉄道業務の根幹に及ぶ業務の外注化も、JR北海道は他のJRに先駆けて進めてきた面がある。
 国鉄分割・民営化は今や完全に破綻した。JR北海道が発表した線区別収支では、全線区が赤字になった。特に北海道新幹線は、他の線区を大幅に上回る98億7700万円の赤字を出している。
 JR北海道はこの赤字を逆手にとり、ローカル線の廃止を強行している。高波被害で15年以来不通となっている日高線の沿線自治体は、日高門別―様似(さまに)間の廃止・バス転換をのまされた。16年8月の台風で運休している根室線の東鹿越(ひがししかごえ)―新得間は、JRが意図的に復旧を拒否したままだ。
 だが、JR北海道の全線区の赤字の総計551億円は、リニア新幹線建設につぎ込まれた財政投融資資金3兆円の1・84%でしかない。国鉄分割・民営化そのものが間違っているのだ。
 今回の事故は国鉄分割・民営化の破産をあらためて示した。1047名解雇撤回闘争を軸に、国鉄分割・民営化体制を倒す決戦の時は来た。
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