JR東労組の崩壊は新段階に 松崎路線の破産が根本原因だ 現場の団結だけが資本の攻撃を阻む

週刊『前進』04頁(2993号02面02)(2018/11/26)


JR東労組の崩壊は新段階に
 松崎路線の破産が根本原因だ
 現場の団結だけが資本の攻撃を阻む


 JR総連・東労組の崩壊は新たな段階に入った。東労組本部は12月19日に臨時大会を開くと打ち出した。この大会が、現本部執行部を握る大宮・盛岡・秋田・仙台・千葉・横浜地本らのグループと、それに対抗する東京・八王子・水戸の3地本との、分裂を含んだ対立・抗争の場となることは明らかだ。

1人乗務で「妥結」を指示

 大宮地本出身の山口浩治委員長を先頭とする東労組現本部は、JRにどこまでも屈服する以外に生き延びる道はないと決断している。他方、東京・八王子・水戸の3地本は、資本への「抵抗」姿勢をとることで組織の維持を図っている。
 両者の対立の最大の焦点となっているのが、水戸地本だ。
 JRが強行した常磐線特急の車掌1人乗務化は、水戸支社管内で31人の車掌を削減する大攻撃だ。そもそも車掌の1人乗務化は、昨年7月にJR資本が提案したが、東労組組合員を含む労働者が猛反発し、撤回に追い込まれた経緯がある。
 それを再提案してきた資本への現場労働者の怒りが高まる中、東労組水戸地本も、これを安易に受け入れたら組織は維持できない。1人乗務化に水戸地本は妥結せず、10月20日の強行実施後も反対姿勢をとり続けている。
 これに対し東労組本部は10月19日、指令17号を出し、「水戸地本は本部の指導には従わず団体交渉にて対立を続け、施策の一方的実施と議事録確認の解約という事態に直面している」として、即時妥結を地本に迫った。この議事録確認とは、15年7月にJRと東労組が結んだもので、「特急列車の車掌は基本2名体制」という会社側の発言が明記されている。
 今年7月にJRは車掌の1人乗務化を最提案し、水戸地本との交渉に入った途端に、その議事録確認の解約を突きつけた。水戸地本が団交で対立を続けたから議事録確認が解約されたという東労組本部の主張は、ためにする言いがかりだ。
 さらに10月25日、東労組本部は車掌1人乗務化問題で水戸地本がマスコミの取材に応じたことを「確認事項違反」とする指令18号を出した。問題になったのは東京新聞10月20日付朝刊と23日付夕刊の記事だ。動労水戸が10月16、17日に貫徹したストライキを取材した上で書かれたこの記事には、動労水戸のコメントと並び、1人乗務を批判する東労組水戸地本の見解も載せられている。これに東労組本部はかみつき、「マスコミ対応は本部に一任せよ」とわめいたのだ。
 1人乗務化が強行された直後の10月27日、特急ときわ車内で、指定席に座れなかった乗客が車掌に暴行する事件が起きた。常磐線特急に導入された「新着席サービス」は、全席を指定席とするが、座席上方のランプが空席であることを表示している場合は、指定を受けていない乗客も着席できるという、わかりにくいシステムだ。乗客同士のトラブルが多発することは目に見えていた。1人乗務では車内巡回や乗客対応も十分にできない。
 こうした中、東労組水戸地本は本部の指令を公然と無視し、1人乗務を問題にして水戸駅前・勝田駅前での宣伝行動を行った。これにも本部は中止の圧力をかけてきた。
 怒りを行動に転化しつつある現場労働者のこうした動きは、明らかに動労水戸のストライキによって促されたものだ。

反対意見表明したら制裁

 東労組本部は、反対派3地本の主張を体現するものとして立ち上げられたホームページ「真実の声」を組織破壊と断定し、11月1日付の中央執行委員会見解で「『真実の声』への投稿者並びに情報提供者は制裁申請に値する」「全地本は『真実の声』に対する見解を11月15日までに中央本部に提出せよ」とする指示を出した。
 反対派3地本に踏み絵を踏ませ、臨時大会で制裁に持ち込もうという思惑だ。現本部は、こうした形で資本に抵抗する要素を東労組から全面的に一掃しようとたくらんだ。他方、3地本側は、あからさまにこの本部指示を無視している。
 異様なことにJR総連も、JR北海道労組やJR貨物労組、JR東海労、JR西労などの傘下単組に「真実の声」への見解を出せと指示を下ろした。
 JR総連との結託体制を続けてきたJR北海道やJR貨物の資本には、単独で労組を解体できる力はない。だからJR総連や東労組本部は、労働者の抵抗を押しつぶす反動的な有用性をJR北海道やJR貨物にも売り込んで、延命しようとあがいているのだ。

とことん資本にひれ伏す

 東労組の現本部には、乗務員勤務制度改悪をはじめとしたJRの攻撃のすべてを受け入れ、とことん資本にひれ伏す道しか残されていない。
 JR総連が10月26日に開いた「単組・地協拡大代表者会議」で、JR総連委員長の榎本一夫は「『賃金本質論』という言葉は労働組合としては間違っている」と述べた。「賃金本質論」とは、東労組初代委員長の松崎明の思想を表す言葉として、現本部執行部を含む東労組カクマルが18春闘までさんざんわめいてきた言葉だ。東労組やJR総連の本部執行部は、松崎を自ら否定してみせなければ資本や権力との関係を維持できないところに追い込まれたのだ。
 東労組の執行部を握ってきたカクマルは、党派としては崩壊しつつ、労組ダラ幹としての自己の地位保全だけを追い求める野合集団へとますます転落しつつある。だが、それでも資本は彼らを許容などしない。
 東労組本部が現場の闘いを圧殺するために振りかざしてくるやり方は、まさにカクマルの手法そのものだ。その原点は、東労組カクマルが松崎明を先頭に国鉄分割・民営化に率先協力し、動労千葉や国労組合員の首切りの最先兵になったことにある。
 資本と癒着・結託してあらゆる合理化を推進する一方、時には資本との一定の「対抗関係」を演出することでカクマルの特権を維持するのが、松崎の路線だった。だがそれは、首相官邸が東労組の解体を決断した途端に通用しなくなった。
 東労組の現本部執行部のあり方は、資本との癒着・結託という松崎路線の一面を、きわめて醜い形で肥大化させたものに他ならない。だから、それに対する現場労働者の深い怒りには、自らを松崎の正当な後継者と位置づける反対派3地本幹部の思惑をも超えるものがはらまれている。
 激しい脱退強要に耐えて東労組にとどまった組合員は、資本の攻撃にどう立ち向かうべきかを必死に模索しつつある。脱退を強いられた労働者も、悔しさをかみしめてこそいても、現状を是認などしていない。
 必要なことは、現場労働者の闘う団結を取り戻すことだ。その力だけが、資本の攻撃を阻止できるのだ。
 乗務員勤務制度改悪阻止へ、動労千葉・動労総連合は来年3月のダイヤ改定を焦点にストライキ態勢を堅持し闘いぬいている。JRとその関連会社の労働者は、今こそ動労総連合に結集しよう。
このエントリーをはてなブックマークに追加