石川さんと共に再審を
石川さんと共に再審を
石川一雄さんが誘拐殺人犯にでっち上げられた狭山事件の裁判で1974年10月31日の東京高裁・寺尾正二裁判長による無期懲役判決から44年を迎えた。再審の実現へ向け、10月26日には東京高裁への要請行動が、27日には東京、31日には大阪と広島で狭山集会が開催された。26日と27日の報告です。(編集局)
下山第2鑑定を武器に
東京の狭山集会で勝利誓う
石川一雄さんは10・31闘争にメッセージを寄せた。
「もともと万年筆は発見経過が極めて不自然で、私を犯人にでっちあげるために、偽物を警察が私方の勝手場入り口の鴨居に置いて兄にとらせたことは明らかです」「完全無罪を勝ち取るまでは決して気を緩めることなく......如何(いか)なる時も萎(な)えることのない闘争心で......支援のお願いに奔走する」
石川さんの訴えに応えて27日夕、部落解放東日本共闘会議と全国水平同盟杉並支部が主催して東京・全水道会館で狭山集会が開かれ、70人が集まった。
開会あいさつを解放共闘の岩本正治事務局長が行った。続いて連帯あいさつに立った「星野さんをとり戻そう!全国再審連絡会議」の戸村裕実共同代表は、石川さんの再審と星野文昭さんの解放を一体で闘うと語った。
基調報告を杉並支部の田中れい子支部長が提起した。有罪証拠の「被害者の万年筆」が偽物であることを科学的に証明した新証拠の下山第2鑑定を軸に、証拠をねつ造して罪を着せる権力犯罪を怒りを込めて暴いた。そして、共謀罪攻撃としての関生支部への弾圧を打ち砕こうと訴えた。
改憲・戦争、労組つぶしと闘う現場から報告と決意表明が続いた。動労水戸は勝田・大子で打ちぬいた乗務員のストライキを勝利感を込めて報告。東京の自治体労働者は労働組合の存亡をかけて大幅賃下げ攻撃と闘う決意を述べた。国会闘争を先頭で闘う全学連が髙田暁典さんの勾留理由開示公判に1、2年生が決起したと報告すると、会場は高揚感と解放感であふれた。青年・学生が未来を開くことを確信させた。
杉並支部は、貧困だから犯罪を犯すとして石川さんが犯人にされたことをとらえて「どこに憲法があるのか」と弾劾。狭山闘争が改憲阻止闘争そのものであることが鮮明になった。
集会のまとめと行動提起は「残り1週間、死力を尽くし11・4の組織化を」。全体が決意を込めて団結ガンバローを行った。
被害者の万年筆は偽物
東京高裁に事実調べを迫る
「石川一雄さんは無実だ!」「東京高裁は狭山裁判の再審を行え!」。26日、霞が関の東京高裁前で、要請行動に立つ全国水平同盟と部落解放東日本共闘会議がシュプレヒコールをあげ(写真)、意気高く高裁に乗り込んだ。
対応した訟廷管理管はひときわ緊張している。当然だ。臨時国会が始まり、改憲発議を狙う安倍への怒りで国会は包囲されている。その最先頭で闘う勢力が眼前にいるのだ。さらに8月30日には新証拠の下山第2鑑定が提出された。再審開始以外にない。
要請団は、全国水平同盟の西郡支部・高槻支部の要請文の読み上げに続いて、杉並支部、動労水戸、東京の各地区労組交流センターが次々と事実調べと再審開始、検察に対する全証拠開示命令を迫った。
24歳で不当逮捕された石川さんは年明けには80歳になる。第3次再審請求から12年、その間提出された新証拠は217点にもなる。
「これ以上裁判の引き延ばしは許されない」「下山鑑定は寺尾確定判決を完全に崩している」「一人の人間の尊厳と人生を国家が踏みにじるのを許せば、戦争が始まる」「なぜ証拠を調べないんだ!」。黙ったままの訟廷管理官に怒りが爆発、要請室は怒りのるつぼと化した。訟廷管理官は卑劣にも次の団体の要請を口実に逃げ去った。要請団は高裁を確実に追い詰めた。