入管庁設置・入管法改悪阻止を 外国人に一層の奴隷労働を強制

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週刊『前進』04頁(2987号02面01)(2018/11/05)


入管庁設置・入管法改悪阻止を
 外国人に一層の奴隷労働を強制

(写真 改憲阻止の臨時国会開会日、「入管法改悪阻止!」の横断幕が掲げられた【10月24日 参院議員会館前】)

 臨時国会に提出する入管法改悪案をめぐり、自民党総務会では「事実上の移民政策だ」などと反対論が噴出。「3年をめどに見直す」という規定を盛り込むことで了承され、閣議決定にこぎつけた。同時に在日外国人の治安管理を抜本的に転換・強化する「出入国在留管理庁」設置が打ち出されている。

「労働力不足」に日帝資本が悲鳴

 安倍政権は「働き方改革」に「新たな外国人材の受入れ」を位置づけ、「我が国の経済・社会基盤の持続可能性を阻害する」ほどの「深刻な人手不足」に対応しようとしている。「従来の専門的・技術的分野における外国人材に限定せず、一定の専門性・技術を有し即戦力となれる外国人材を幅広く受け入れていく仕組みを構築していく必要がある」とし、単純労働力を導入しようとしている。
 「働き方改革」で労働法・労働組合解体を進めると同時に、入管法・入管体制の下で労働力の調整弁として安価・使い捨ての外国人労働者を移入しようというのだ。2025年までに50万人規模の外国人労働者が必要だと、新たな在留資格「特定技能1号・2号」を設け、来年4月の実施を目指すとしている。
 「特定技能1号」は「即戦力として活動するために必要な知識又は経験を有する」技術水準と日常会話ができる日本語能力を持つ外国人が対象とされる。技能実習生は3年の経験があれば「技術も日本語能力も一定水準を満たしている」として、試験免除で1号に移行できる。しかし、家族の帯同は認めず、通算で5年が上限となっている。
 試験に合格すれば「特定技能2号」に移行することができる。2号は、長期滞在が可能で家族の帯同も認められるため、「事実上の永住も」などと報道されたが、山下貴司法務大臣は2号について「永住を可能とするものだというのはミスリーディング」「雇用契約の更新がされない限りは、在留期間の更新は許可されない」と言い放っている。
 「一定の専門性・技能を有する」とされるが、そのベースは「現代の徴用工」「現代の奴隷労働」と国際的非難を浴びている「外国人技能実習制度」だ。「高度な技術移転」などを建前とする技能実習制度は、外国人留学生の資格外労働と共に日本で働く外国人労働者の主力であり、その多くが単純労働に従事している。
 昨年11月1日、「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護を図る」として技能実習法が施行されたが、日立製作所や三菱自動車などの大企業で実習生に単純労働をさせていたことが次々に発覚、福島第一原発事故の除染作業に実習生を従事させるなど、問題は拡大している。

資本の墓掘り人として共に闘う

 外国人技能実習制度は直ちに廃止されなければならない。まして、この悪名高い技能実習制度の上に積み上げようという「特定技能1・2号」の創設など絶対に認められない。
 経団連の中西宏明会長は「経団連の意見を相当反映した方向だ」と語り、10月25日の自民党法務部会のヒアリングでも経団連は「人手不足の声に真摯(しんし)に対応してもらえた」と歓迎した。資本にとって労働力不足がいかに打撃であるかを物語っている。極右・安倍政権は、差別・排外主義を扇動し外国人排除を叫びながら、外国人労働者に救いを求めている。これこそ、改憲と戦争に進む安倍政権の最弱の環だ。
 中南米などの日系4世を受け入れる新たな在留資格が7月1日に施行されたが、10月中旬までに発給されたビザはわずか2件! 18歳以上30歳以下の日系4世を対象とし、就労を認めるこの「4世ビザ」も、日本滞在の上限が5年、家族の帯同も認めないという非人間的なものだ。年間4千人を見込んでいた安倍政権は大打撃を受けている。労働者を見くびるな!
 改憲攻撃と一体の出入国在留管理庁新設―入管法・入管体制の大転換を許さず、外国人労働者と合同労組・ユニオンで団結しよう。ここに安倍打倒の力がある。

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