入管庁新設は改憲と一体 外国人技能実習制度粉砕を

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週刊『前進』04頁(2981号04面03)(2018/10/15)


入管庁新設は改憲と一体
 外国人技能実習制度粉砕を


 25年までに外国人労働力「50万導入」

 安倍政権は、「骨太の方針2018」に「新たな外国人材の受入れに関する事項」を明記し、25年までに新たに50万人規模の外国人労働者の導入をめざし、来年4月から「特定技能」(仮称)という新たな在留資格をスタートさせる方針を明らかにした。
 同時に、この新たな在留資格創設による外国人労働者の大幅な受け入れ拡大に伴い、入国管理局を改組、格上げして「出入国在留管理庁」(仮称。以下、入管庁)を来年4月に設置することを打ち出した。
 いずれも10月に開会される臨時国会に入管法(出入国管理および難民認定法)改定案などを提出し、審議することになるが、すでに法務省は、関連費用として30億円を来年度予算の概算要求に計上し、既定方針として動き出した。
 安倍が改憲で狙う「戦争のできる国」への転換は、国内に「内乱勢力」を抱えたままではできない。96年8月、当時の官房長官・梶山静六は、「朝鮮半島有事で大量の難民が来た時、偽装難民もある。武器供与されたらどうする。彼らには国内に組織がある。北と南の。それが内紛状態になった時、日本の自衛隊はどう戦うか」と危機感もあらわに叫んだ。
 侵略戦争と植民地支配の生き証人としての在日朝鮮人を潜在的内乱勢力として治安管理することが、戦後一貫した日本の入管体制のあり方だった。しかし、戦後入管体制は、在日朝鮮人・中国人をはじめとした在日・滞日外国人の粘り強い闘いによって食い破られてきた歴史だった。

滞在の上限は5年安価で使い捨てに

 今、日本経済は深刻な労働力不足にあえいでいる。2020年東京オリンピック・パラリンピックを前に即戦力となる外国人労働者を確保しようと躍起となっている。すでに建設・造船業界では、外国人技能実習生と、技能実習を終えて帰国した労働者を呼び戻して働かせるという時限緊急措置を15年4月から開始している。
 さらに08年秋のリーマンショックは、日系人労働者の雇い止め・解雇をも大量に生み出した。この時、強制的な帰国政策を行ったにもかかわらず、今年7月1日、安倍政権は、18歳以上30歳以下の日系4世を対象に「日本文化を習得する活動」のための受け入れと称し、その活動を支えるための就業を認める制度をスタートさせた。
 50万人の外国人労働者を導入するという「特定技能」導入も、「日系4世の更なる受入制度」も、安倍政権は「移民政策ではない」と強弁し、在留期間の上限は5年、家族の帯同も認めないという方針をとっている。これこそ「有期5年」の安価な使い捨て労働力そのものだ。
 「現代の徴用工」と批判を浴びる外国人技能実習制度をベースに、安倍政権はあくまで即戦力、単純労働力として外国人労働者の導入を図ろうとしている。外国人労働者への適用を水路に使い捨て労働を全労働者に拡大しようとしている。分断を乗り越えた階級的な反撃が求められている。
 しかも、「戦時下」の労働力対策として治安管理を徹底するために入管体制の組織的大転換をし、来年4月には入管局を格上げして入管庁を設置する。これは改憲攻撃そのものだ。

解雇撤回求め立ち上がる技能実習生

 トヨタ、三菱自動車などに続き、日立製作所で技能実習の不正が暴かれた。鉄道車両製造拠点の笠戸事業所(山口県)での技能実習は、「新幹線の排水パイプ付けなど単純作業ばかり」だった。この実習計画が監督機関の実地検査で認められず、日立はフィリピン人技能実習生20人に解雇を通告。20人は労組に入り、解雇撤回を求めて立ち上がっている。
 外国人技能実習制度など粉砕あるのみだ。改憲攻撃と一体の入管庁新設―入管体制の大転換を許さず、外国人労働者と団結し、11・4日比谷に集まろう!

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