三里塚請求異議裁判 市東さん最終意見 農地強奪許さぬ不動の決意
週刊『前進』04頁(2979号01面02)(2018/10/08)
三里塚請求異議裁判
市東さん最終意見
農地強奪許さぬ不動の決意
(写真 市東さん先頭に千葉地裁へ気迫のデモ 「農地死守」のコールを繁華街に響かせ行進するデモ隊に沿道から声援が送られた【9月27日】)
9月27日、千葉地裁民事第5部(高瀬順久裁判長)で、市東孝雄さんの農地を守る請求異議裁判の第9回口頭弁論が開かれた。市東さん本人の最終意見陳述(3面に掲載)と最終弁論が行われ、結審した。三里塚芝山連合空港反対同盟と顧問弁護団、支援の労働者・農民・学生・市民135人がともに一日行動を闘い抜いた。
正午から千葉市中央公園で決起集会が開かれた。東峰の萩原富夫さんは、「この裁判を約2年闘い抜いて強制執行を阻止してきた。絶対に勝利しよう」と檄(げき)を飛ばした。動労千葉の川崎昌浩書記長は、成田空港の犯罪性と安倍政権の改憲攻撃を鋭く批判し、10・14三里塚集会と11・4全国労働者集会への決起を呼びかけた。関西実行委、市東さんの農地取り上げに反対する会の発言に続き、全学連の高原恭平委員長は、半世紀を超えて国家権力と非和解で闘う三里塚闘争の意義を確認した。
集会後、反対同盟を先頭に千葉地裁へ向けてデモに出発。宣伝カーからは婦人行動隊の宮本麻子さんが「農地死守」のアピールを繁華街に響かせた。デモ後は直ちに署名提出行動に移った。農地取り上げ強制執行に反対する署名は、今回提出分が4803筆、総計で1万8446筆となる。民事第5部書記官室で萩原さんが申入書を朗読し、「高瀬裁判長は絶対に強制執行を認めるな」と念を押して署名を受け取らせた。
午後2時に裁判が開廷し、最初に市東さんが「最終意見」を読み上げた。市東さんは「私はあくまでも天神峰と南台で私の畑を耕し、絶対に動かない」「強制執行は認めないとの判決を強く求めます」と断固として宣言した。
続いて内藤光博さん(専修大学教授・憲法)と石原健二さん(元立教大学教授・農業経済)が補佐人として陳述し、強制執行は許されないことを専門分野の見地から解き明かした。
そして顧問弁護団が次々と最終準備書面を陳述。強制執行は権利濫用(らんよう)、信義則違反であり、著しく社会的正義に反している。NAA(成田空港会社)が明け渡しを求めている対象地は市東さんの耕作地全体の73%であり、農業の継続を不可能にさせ、人生を奪う超過酷執行だ。市東さんの生存権的財産権を侵害し、農業の憲法的公共性を否定するものだ。さらに強制執行は第3滑走路建設、深夜早朝発着の大幅緩和による騒音地獄の拡大など、「空港機能強化」という大規模な地域破壊の一環として行われようとしている。絶対に許されない。裁判所は原告の請求をすべて認める判決を出せ!
気迫に満ちた陳述で、NAAの代理人は自分たちの悪行が暴かれて消沈しきっている。裁判長は判決言い渡しを12月20日午後2時と一方的に告げて閉廷した。
報告集会では、市東さんが「判決が出ても終わりではない。これからも天神峰で農業をやっていく。みなさんとともに闘っていきます」と不屈の決意を語った。萩原さんは、「今日の勢いで10・14集会に大結集を実現し、12月20日の判決を迎え撃つために現地でも闘いを進める」と述べ、一日の闘いを締めくくった。