大停電、大災害は人災 北海道地震 泊原発も外部電源一時喪失

週刊『前進』02頁(2974号01面02)(2018/09/20)


大停電、大災害は人災
 北海道地震 泊原発も外部電源一時喪失

震度7を初観測、全道で停電と断水

 9月6日未明の北海道胆振(いぶり)東部地震から1週間がたった。北海道で震度7が初観測された。今も余震が続き、12日現在、7市町の避難所に約1600人が避難し、震源地・厚真町と隣の安平町の165戸で停電が続き、この2町や札幌市などで約4900戸が断水中だ。
 厚真町での斜面の崩壊など全道で建物は全壊・半壊が230戸。41人が亡くなった。ブラックアウト(全道の停電)や、断水で人びとの生活や産業に甚大な被害が生じた。今も電力供給が追い付かず、節電が呼びかけられ、工場の操業はほぼ再開されたが店頭では品不足が続いている。
 札幌市清田区や北広島市では液状化現象で地滑りが起こり、10軒の家屋が全壊。札幌市北・東区では、地下鉄工事で開削工法が用いられた区間で道路が陥没し、全面復旧していない。
 地震と停電、ガソリン不足でJRなど交通機関も完全に停止。JRは徐々に復旧しているが、日高線の勇払―浜厚真間で橋桁がずれ、復旧に数カ月を要するだけでなく、予算がなくて単独では工事ができないという。日高線は3年半前の高潮被害で鵡川―様似間が不通になり、復旧工事をせずに沿線にバス転換を迫っていた。

泊には1527体の使用済み核燃料

 震源の近くには全道の供給電源の約半分を占める苫東厚真火力発電所があり、地震の直後に停止した。北電は、電源の一カ所集中でコスト削減を図ったほか、「泊原発があればブラックアウトは起きない」と見ていた。泊原発は2012年から全基が停止したままだ。北電は泊の再稼働が見通せない中で、発電コストの安い厚真の石炭火力発電への依存度を強めたものの、1980年1号機完成という老朽設備のメンテナンスは泊原発の再稼働を当てにしておざなりだった。
 今回の地震で、泊原発は核燃料を冷却する外部電源を一時喪失し、非常用ディーゼル発電機が起動した。燃料プールの使用済み核燃料は1527体。外部電源は3系統から供給されていたがすべてがストップした。危機一髪だったのだ。
 JR北海道は、信濃川発電所を所有するJR東と違って自社の発電所を所有せず、北電からの電力供給に全面依存していた。線路点検をしても、駅や設備が働かなくてディーゼル機関車も動かせなかった。
 今回の地震による被害を大きくしたのは、「選択と集中」によるコスト削減という新自由主義政策だ。

大災害でも改憲に突き進む安倍政権

 改憲をめぐる攻防が正念場を迎えている。大災害が続いていても自民党が総裁選を中断しないで改憲・戦争を急いでいることに人びとは怒っている。支配階級は、日本帝国主義が崩壊の危機に直面する今、地震が起きようが台風が来ようが構っていられない。安倍の改憲クーデター策動を見抜き、安倍と改憲を葬り去る絶好の機会が到来していることを確認し闘おう。

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