福島 仮設打ち切り許すな 放射能汚染地域へ帰還強制
週刊『前進』02頁(2972号01面04)(2018/09/13)
福島 仮設打ち切り許すな
放射能汚染地域へ帰還強制
来年3月に続き4町村20年春に
福島県は8月27日、双葉町と大熊町を除く帰還困難区域からの避難者に対する応急仮設住宅(みなし仮設を含む)の無償提供を2020年3月末をもって打ち切ることを決定した。来年3月には、昨年春に避難指示が解除された飯舘村や川俣町山木屋地区などからの避難者(2389世帯)への打ち切りの強行が狙われているが、20年3月には浪江、富岡両町の全域(3253世帯、そのうち帰還困難区域は約2割の641世帯)と葛尾、飯舘両村の帰還困難区域(45世帯)からの避難者も住宅追い出しを強行しようということだ。これは、帰還困難区域の避難指示解除と一体である。安倍政権は帰還困難区域について、特定復興拠点を設定して、除染やインフラ整備を進めながら2022年までに避難指示を解除しようとしているが、今回の福島県の決定はそれをさらに前倒し的に進めるものだ。帰還困難区域の除染はまだほとんど手つかずで、これから本格的に開始するとし、2023年春までかかるとされている。
五輪開催のため避難者抹殺狙う
そもそも帰還困難区域は、空間放射線量が年間50㍉シーベルトを超え、数十年にわたって居住することができない。除染によって「年間1㍉以下を目指す」としているが、実際には年間20㍉シーベルトの高線量地域でも避難指示解除が強行されている。年間20㍉のところに5年も住み続ければ、累積で100㍉シーベルトの被曝を強いられることになり、健康に影響が出てくることは明らかだ。オリンピック組織委員会は、2020年の東京オリンピックを「復興五輪」と位置づけ、聖火リレーを福島県からスタートする(20年3月26日)ことを発表した。オリンピックによる国威発揚のなかで、避難者への仮設の無償提供が打ち切られ、常磐線全線開通で原発事故の被害のすべてが消し去られようとしている。避難者を仮設住宅から追い出し、避難者という存在を抹殺する——これが「復興五輪」の正体だ。
常磐線開通反対の署名集めよう
安倍政権と福島県による帰還困難区域の避難指示解除、住民への帰還強制をめぐる最大の攻防が常磐線の全線開通だ。動労水戸は、常磐線の延伸攻撃に対して被曝労働拒否を掲げてストライキを闘ってきた。17年4月の浪江延伸阻止のストライキに対しては、勝田運輸区で平成採青年運転士がスト破りを拒否した。動労水戸のストライキが導火線となり、職場全体が被曝労働拒否に立ち上がることを恐怖しているのがJR資本だ。10月20日にも狙われている常磐線特急列車の車掌一人乗務化、水郡線のワンマン運転拡大は、常磐線全線開通に向けて、被曝労働拒否を闘う動労水戸をつぶし、JR職場から反対勢力を一掃する攻撃だ。絶対に阻止しよう。
動労水戸などが呼びかける「常磐線の全線開通に反対する署名」を全国で集めよう。すでに署名は3千筆を超えて集まっており、10月にもJR東日本本社に対して、常磐線全線開通に反対する署名の提出行動が呼びかけられている。福島の怒りをJR東日本にたたきつけ、常磐線全線開通を阻止しよう。
(動労水戸支援共闘事務局長・斎藤貴広)