障害者雇用数の水増し弾劾 「一億総活躍」のペテンあらわ
週刊『前進』04頁(2971号04面02)(2018/09/10)
障害者雇用数の水増し弾劾
「一億総活躍」のペテンあらわ
27機関、40年以上
障害者の法定雇用を「率先して義務付け」られてきた中央省庁のうち27機関をはじめ、40年以上も障害者雇用数の水増しが繰り返されてきたことが発覚した。たまたま昨年度の実態報告で明らかになったと言うが、水増しが1千人を超える国税庁をはじめ、500人超の国交省と法務省、300人超の防衛省、さらに裁判所、衆参両院、宮内庁、内閣官房、公安調査庁など広範囲に及ぶ。再調査で、死亡した障害者を数えていたり、本人も知らないうちに障害者登録をしていた事例も明るみに出た。
担当の加藤勝信厚労相は火消しに追われた揚げ句、8月時点で中央官庁で3460人を水増していたこと、雇用率も2・49%ではなく1・19%だったと発表した。国の機関だけでなく都道府県や市町村、県警本部などでも水増しが判明した。
安倍の「一億総活躍プラン」は深刻な労働力不足を障害者、女性、高齢者らを労働力として動員し乗り切ろうとするものだ。それを「活躍」という名で押し隠そうとしてきたが、今回の水増し発覚でその虚構が一挙に吹き飛んだ。安倍の改憲プランの正体が露呈し、大破綻へと連なる事態だ。
排除に怒りが沸騰
障害者の怒りは倍加している。水増しは、安倍と厚労省が「法定雇用達成」の看板を掲げながら、半分以上の障害者を希望する就労から何年にもわたって排除し続けてきたことを意味する。単に就労の問題にとどまらない。「やっぱり障害者はのけものにされてきたんだ!」という怒りが沸騰している。安倍の本音をあけすけに語る自民党議員・杉田水脈の「生産性ないものには税金投入は無駄」などという発言に対しても、「今までもずっと政府や資本家は障害者をそう扱ってきたじゃないか!」と即座に断罪している。障害者雇用数の水増しをひた隠しにしてきたのは安倍だ。安倍の息の根を止めなければ障害者は生きられない。
労働力使い回しも
民間企業、国、地方公共団体に一定割合(法定雇用率)に相当する数以上の障害者の雇用を義務づける「障害者雇用促進法」は1960年に制定された。当初は無罰則だったが、76年に公務職を除く民間企業では未達成分に罰金を化すようになった(現在、未達成1人につき月5万円)。雇用率は、「差別解消」の名の下に「2%近くの障害者を雇えば失業率上での差別は生まれない」という予断に基づき、公務での若干高い数値目標と民間の罰金+補助金制を柱に決められた。職場環境の改善と労働者の団結がない中での障害者雇用などインチキであり、破綻は必至だ。
雇用を確保できない企業を「救済」しようと2002年には「特例子会社での法定算入」が始まった。親会社が雇用率を達成しなくても、グループ全体で基準をクリアすればよいとする仕組みだ。
また、障害者を新規採用すれば1〜2年をめどに助成金が支給されている。しかしこれを目当てに解雇しては職をあっせんする企業もあり、「障害者の使い回し」がはびこっている。障害者就労A型事業所で大量解雇=倒産も発生し、使い捨てが横行している。
主犯の安倍倒そう
そもそも第2次安倍政権下の2014年、厚労省所管の労働者健康福祉機構で雇用率の虚偽が報告されていた。安倍と厚労省は部長ら3人を刑事告発し罰金命令でもみ消した。そして水増しを放置し促進してきた。「一億総活躍プラン」の破綻を押し隠すためである。肝心なことは、職場でこそ障害者が共に生きることのできる階級的団結を取り戻すことだ。労働組合が、職場で強められるイジメ・パワハラ、労組解体・団結破壊の評価制度、これを容認し資本の手先と化している御用労組と対決し、新たな障害者を迎え入れられる力を取り戻すことだ。
これが安倍の改憲・戦争攻撃を粉砕し、労働者階級解放―障害者解放をかちとる道だ。