国鉄1047名労働委闘争 葉山弁護団長が方針提起 JR東と千葉県労委相手に、二正面闘争構え解雇撤回へ
国鉄1047名労働委闘争 葉山弁護団長が方針提起
JR東と千葉県労委相手に、二正面闘争構え解雇撤回へ
動労総連合による国鉄1047名解雇撤回の労働委員会闘争は、JRだけでなく労働委員会との激突になった。7月31日の第1回調査を受け、動労千葉顧問弁護団長の葉山岳夫弁護士が国鉄闘争全国運動の呼びかけ人会議で行った提起の要旨を紹介します。(編集局)
●最高裁反動判決は瓦解
国鉄1047名解雇撤回の千葉県労働委員会闘争が始まり、7月31日に1回目の調査がありました。
国鉄分割・民営化との闘いは、中曽根が「総評を解体して新しい憲法を床の間に安置する」と言ったように、改憲攻撃とどう闘うのかが問題になります。
第1回調査で判明したことは、私たちは二正面闘争を闘う必要があるということです。一つはもちろんJR東日本ですが、労働委員会に対しても闘争を展開する必要がある。
JR東日本は調査の前に答弁書を出してきて、「JR東日本が労働組合法上の使用者に該当しないことは、これまでの裁判で明らかである」と言っている。また、不当労働行為の申し立ては行為日から1年以内に限るから、30年前のことは却下しろと言って、労働委員会の場に出てこない。
JR東日本が出席しないことを私たちが「おかしいではないか」と言うと、労働委員会の公益委員は「出てこないものはしょうがない」「労働委員会としては最高裁の判決例に反することができない」と言う。
何を意味するかというと、2003年12月の国労の最高裁判決の「国鉄とJRは別組織」「国鉄の不当労働行為はJRに効力を及ぼさない」という判例に従えば、今回の申し立てはそれに合致しないから却下するということです。
これまでの裁判は、「JRは設備的にも人的にも国鉄を承継しており、国鉄の不当労働行為はJRの不当労働行為」という論理が争点でした。しかし今回の労働委員会は、JR設立委員会が行った不当労働行為はJR東日本の不当労働行為になるという、新たな事実を主張しているわけです。
2003年12月の国労の最高裁判決は、最高裁長官も反対に回る激論の末、3対2の多数決で出されました。その判決文は、「設立委員会が不当労働行為を行った場合は別として、国鉄の不当労働行為はJRには及ばない」と言っている。逆に言えば、JR設立委員会の行った不当労働行為はJRに及ぶと明記しているわけです。
ところが千葉県労働委員会は、判決文をきちんと読まないで、それを表面的に捉えて「最高裁の判例に反することはできない」と言っている。その認識をなんとしても変えさせたい。
●不採用も不当労働行為
国鉄を引き継ぐとされた鉄建公団(現鉄道運輸機構)を相手に動労千葉が起こした裁判では、2015年6月の最高裁決定で、動労千葉組合員をJRから排除するために作られた不採用基準の策定は不当労働行為だと確定した。
この裁判の過程で、不採用基準は、設立委員長の斎藤英四郎と井手正敬や葛西敬之らが談合し、さらには1987年2月12日に斎藤英四郎が設立委員長として「停職処分を受けた者を採用することは問題がある」と自ら提起して、設立委員会として決議したことが、資料によって明らかになった。設立委員会が117人に及ぶ労働者を排除した不採用基準に関わったことは明らかです。
不採用基準の策定が不当労働行為であると確定したなら、不採用とした行為そのものが不当労働行為であり、無効になる。原状回復としてJRが採用しなければならない。
●JR東は使用者そのもの
「30年もたっている」という点については、被解雇者の高石さんや中村さん、小玉さんたちは、解雇無効・原職復帰を解雇当時から現在まで一貫して主張しています。JR東日本は「30年以上過ぎた段階で団体交渉はおかしい」と言いますが、動労千葉は2015年の最高裁決定後、すぐに団体交渉を申し入れています。それをJR東日本が「当事者ではない」と逃げているに過ぎない。
不当労働行為の救済の申し立ては、継続する行為については終了から1年以内となっている。JR東日本は動労千葉への差別的な扱いを一貫して行い、一貫して採用を拒否してきた。つまり継続的な不当労働行為があるわけです。
JR東日本は「却下戦術」「欠席戦術」でやってくるわけですが、これに千葉県労働委員会が乗っからないように、理論や理屈だけではなくて運動を展開する必要がある。二正面の闘争、特に千葉県労働委員会に対してきちんとした闘争をしなければいけません。
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1047名解雇撤回労働委員会闘争 第2回調査
9月10日(月)午前9時20分
千葉県庁南庁舎前集合