「片手間乗務」は安全破壊 運転士を大幅削減・労働強化
週刊『前進』02頁(2968号01面02)(2018/08/30)
「片手間乗務」は安全破壊
運転士を大幅削減・労働強化
鉄道事業にとって、乗務員の労働条件は、全職種の労働条件を決定する中心的な位置を占めてきた。JR東日本が来年3月のダイヤ改定で強行実施を狙う乗務員勤務制度の改悪は、その乗務員の労働条件を劣悪化することを通して、全職種の雇用や労働条件の破壊を狙うものだ。
JR東日本が打ち出した経営計画「グループ経営ビジョン『変革2027』」は、「ドライバレス運転の実現」を掲げた。無謀きわまる列車の無人運転化に向けて、JR東日本はすでに社内にプロジェクトチームを発足させている。無人運転になれば、運転士も車掌もいらなくなる。JRは乗務員勤務制度改悪の提案で、乗務員は将来は「輸送サービススタッフ」になるとしている。乗務労働を特別扱いせず、単なる監視要員にするということだ。
今回の改悪でJRは、支社企画部門の課員なども、週に2、3回は短時間行路に乗務することになるとしている。朝のラッシュ時間帯に2~3時間、列車を運転した後に、支社に出勤して管理職としてのデスクワークをするということだ。鉄道の安全は、乗務員が日々の労働の中で技術を維持し磨くことによって保たれてきた。それを、管理職が片手間で行ったら、必ず大事故につながる。しかも、ラッシュ時は乗務員にとって最も緊張を要求される時間帯だ。
これによりJRは、乗務員を大幅に削減し、労働を強化することを狙っている。支社課員らが乗務するから、乗務員の数は減らせるとJRは公言している。だが、支社課員らは短時間しか乗務しないのだから、通常の乗務員の負担はさらに重くなる。乗務員の拘束時間は現在より1時間長くされる。また、折り返し待ち合わせ時間などは削減され、実際に乗務する時間は増やされる。
現在でも乗務中に運転士が倒れる事態が頻発している。これ以上、労働がきつくなったら、乗務員の命にかかわる。
JRはこの勤務制度改悪を、育児や介護を抱えて短時間勤務を希望する労働者のためのものであるかのように押し出している。だが、高齢になった運転士のために短時間行路を設定しろという動労総連合の切実な要求は拒否している。
労働者や乗客の命をないがしろにする乗務員勤務制度の改悪は、絶対に粉砕する以外にない。