改憲発議阻もう 戦争する自国政府打倒を 「自衛戦争」賛成では闘えない

週刊『前進』02頁(2966号02面01)(2018/08/23)


改憲発議阻もう
 戦争する自国政府打倒を
 「自衛戦争」賛成では闘えない


 安倍政権は9月臨時国会に、「国家の自衛権」と自衛隊を憲法に明記する改憲案を提出しようとしています。これに対し、日本共産党は「野党共闘」を掲げ、国民民主党や立憲民主党など改憲派と野合するために、もはや「改憲反対」すらまともに言わなくなっています。その根拠に「自衛戦争」肯定論があります。「国を守る」「自衛」と称して帝国主義が行う一切の戦争は実際には侵略戦争であり、これへの絶対反対の立場を打ち立てなければなりません。

「自衛隊の活用」叫ぶ日本共産党

 日本共産党・志位委員長は2015年に、「急迫・不正の主権侵害など、必要に迫られた場合には、自衛隊を活用する」「日米安保条約5条に基づき、日本に対する武力攻撃が発生した場合には共同対処する」と述べました。「自衛」の名のもとに米軍と自衛隊が共同で武力行使や戦争を行うことを容認したのです。それは共産党が政権に入った場合の「国民連合政府」についてだけではなく、現在、安倍政権が進める改憲、大軍拡も「自衛のため」ならば積極的に支持するということです。これでは安倍政権の改憲案の立場と本質的に何ひとつ変わりません。
 「自衛戦争」とは何なのか。あたかも資本家も労働者も同じ「国民」であり、運命を共にしている仲間のように描くことで、資本家階級の強盗的利益のための戦争、植民地強奪と賃金奴隷制強化のための戦争に労働者を動員する論理です。しかし、「自衛戦争で労働者民衆が守られる」などというのは大うそです。
 20世紀以降の帝国主義の戦争はすべて「自衛」を口実にして行われました。日本帝国主義はかつて「帝国の自存自衛」を振りかざして朝鮮・中国・アジア侵略戦争を正当化しました。労働者階級は侵略戦争に動員され、他国の同じ労働者民衆と殺し合いをさせられ、命を奪われ、家族も生活もめちゃくちゃにされました。労働者人民が筆舌に尽くせない痛苦の歴史を体験した対極で、一握りの資本家階級は大もうけしたのです。こんな大うそに二度とだまされてたまるか、ということです。
 今日、「北朝鮮のミサイル」への恐怖感をあおりたて、「日本を守るために改憲や軍備強化は必要」といったイデオロギーが政府によってまきちらされています。それは自国が行う侵略戦争に労働者人民をからめとる論理です。実際には朝鮮戦争以来、北朝鮮をはるかに上回る核戦力や軍事演習で北朝鮮を脅し、侵略戦争を狙ってきたのは米帝であり、日米安保体制こそ戦争の元凶です。それを隠蔽(いんぺい)し、侵略しようとしているのは北朝鮮の側であるかのように言うのは侵略戦争の正当化のためのデマゴギーです。

戦争は反人民的な政治の継続だ

 忘れてならないことは「戦争は別の手段による政治の継続」だということです。レーニンは1914年の第1次世界大戦勃発に際して「いずれの国の政府も支配階級も植民地の略奪、他民族の抑圧、労働運動の弾圧の政治をおこなってきた」「とりもなおさず、このような政治が、ただこのような政治だけが、いまの戦争において継続されている」(『社会主義と戦争』)と、戦争の階級的本質を暴きました。
 今日、安倍政権が9条改憲で行おうとしている「自衛戦争」も、労働者を搾取し抑圧する腐敗した政治の継続です。労働者を過労死で殺し、非正規職を拡大させ、地方切り捨てと公務員削減で豪雨被害を激増させたのが安倍政権です。また、辺野古新基地やオスプレイ配備、原発再稼働、福島の高放射線汚染地帯への帰還・被曝の強制で労働者・住民の命を脅かしています。その一方で国家・国政を私物化し腐敗と不正の限りを尽くしているのです。「自衛戦争」、9条改憲とはこうした反人民的な政治の継続、延長なのです。このような日本国家は労働者人民にとって守るべきものでは断じてありません。
 「労働者階級は祖国をもたない」「万国の労働者、団結せよ」(マルクス)。これが労働者階級の立場です。国境を超えた労働者の団結で、戦争を引き起こそうとするそれぞれの国の政府を倒すことが、労働者民衆の命と未来を守る唯一の道です。

立憲民主は改憲に積極的に賛成

 立憲民主党は7月19日に「憲法に関する考え方」を発表し、「国民にとって真に必要な改定があるならば、積極的に議論、検討する」と打ち出しました。臨時国会を前に「改憲容認」を明確にしたのです。
 「自衛戦争賛成」の日本共産党や「立憲主義」を打ち破る改憲阻止闘争の登場が今こそ待ったなしです。その先頭に労働組合が立つときです。改憲・戦争阻止!大行進運動を職場・地域からつくり出し、自民党改憲案の国会提出を絶対に阻止しましょう。
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