知る・考える 用語解説靖国神社-戦争動員のためのイデオロギー装置

週刊『前進』02頁(2964号02面05)(2018/08/16)


知る・考える 用語解説
靖国神社-戦争動員のためのイデオロギー装置


 靖国神社とは、戦死者・戦没者を「英霊」「神」として祭り上げ、戦争で死ぬことを賞賛し、それを全人民に強制することを目的として日本帝国主義がつくりあげたイデオロギー装置である。それは戦争で亡くなった人を一般的に「追悼」するための施設では断じてなく、「天皇とその国家のために命を捧げた者」だけを選別的・差別的に祭り上げ、遺族の意向とも無関係に強制的に「英霊化」する「顕彰」施設にほかならない。
 その前身は、明治維新の過程で天皇の側に立って死んだ者を祭った東京招魂社(1869年建立)である。1877年に靖国神社と改称され、天皇が祭主となり全国10万の神社の頂点に置かれた。陸海軍省が直接管理し、合祀(ごうし)者も軍が選定した。それは軍人勅諭、教育勅語と並んで「天皇の軍隊」のイデオロギー的支柱をなした。
 現在、靖国神社には約246万6千人が合祀され、そのうち95%は1931年の中国東北部侵略戦争(「満州事変」)以後の戦死者で占められるが、その中には日本軍に徴用されて無理やり戦争に動員された朝鮮半島出身者約2万人も含まれており、遺族からの合祀取り消しを求める訴えを日本政府と靖国神社は踏みにじり続けている。
 安倍や日本会議などの極右改憲勢力は9条改憲と一体で「靖国の思想」の復活をもくろみ、「国のために命を捧げる」ことを全人民に強制しようとしている。改憲阻止闘争はこれとの全面対決である。
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