焦点 米帝がイラン産原油に制裁措置 戦争促進し争闘戦を激化
焦点
米帝がイラン産原油に制裁措置
戦争促進し争闘戦を激化
5月上旬、欧米など6カ国とイランが2015年に結んだ核合意からの離脱を発表した米帝トランプは、6月26日、世界各国に11月4日までにイラン産原油の輸入をゼロにすることを要求した。米帝の軍事力を背景としたイランへの極めて暴力的な対抗措置である。
これはイランの支配階級を追い詰め、各国からの原油の輸出を阻止する軍事行動や、イラン自身の核合意からの離脱、核開発への突進をもたらす。そうなれば石油ルート確保のための米帝の軍事行動やイスラエルによるイランの原発、核関連施設への空爆の可能性も高まる。それは核戦争の引き金ともなりかねない。
また、これはイランの原油を輸入する帝国主義や諸大国すべてに対する激しい争闘戦である。イラン原油の輸入代金を決済するイラン中央銀行と取引した各国の金融機関は、11月から米国の制裁対象となる。制裁を受けた金融機関は基軸通貨ドルの決済システムから排除され、国際業務を行うことができなくなり、国際貿易からも排除される。
また11月4日の猶予期限が過ぎた後もイランから原油を輸入し続ける国の企業には、米市場での取引を禁じる「二次的制裁」の発動も検討されている。米国市場での取引禁止は多くの国にとって重大な経済的打撃となる。それは世界の貿易を著しく衰退させるだけでなく、世界経済の分裂化をますます促進する。
●中・印がドル体制に挑戦
今回の措置はイランの輸出原油の35%を占める中国とインドにも適用されるが、巨大な経済規模をもつ両国からの反発は激しい。中国は原油取引で支配的な地位を持つドルに代わって中国通貨の人民元でイランからの輸入を続け、原油取引における人民元の利用を拡大する姿勢を示している。実際、12年に米帝がイランへの制裁を発動した際も、中国はドルではなく元を使ってイランからの原油の輸入を続けた。これはドルを基軸通貨とするドル体制に真っ向から挑戦するものであり、米帝にとっては絶対に認められないものだ。当然米帝と中国との対立は激烈化し、今日の両者の戦争的対立を一挙にエスカレートさせるだろう。
インドも12年にイラン原油の決済をドルからルピー建てに切り替えており、今回も米帝のイラン制裁強化に対抗してドル離れを強める可能性が強い。このように米帝が各国のドル決済システムからの排除をちらつかせてイラン制裁を強化しようとすれば、逆に各国のドル離れが進み、ドル体制の更なる崩壊が進む。それはそれで米帝のさらに激甚な反応を引き出し、戦争危機を激化させるだろう。
●日帝・EUが反発
原油輸入の5・5%をイランに依存し、イランでの原油開発への参入を狙っている日帝にとっても、この米帝の要求を簡単には受け入れられない。イランからの原油輸入を突然停止すれば日本経済は大混乱に陥るからだ。かといって原油輸入を継続すれば日本はドル決済システムから排除され、米国市場での取引を禁止される。このため日帝・安倍は制裁の「例外措置」の適用を米帝に要求し、イランからの原油輸入を一定確保するとしているが、トランプはそれに容易に応じようとはしていない。日帝の経済危機がいっそう深刻化するのは間違いない。
また欧州連合(EU)諸国はこの間、イランに多数の企業を進出させており、制裁強化はそれらの企業の撤退をもたらしかねないため、米帝の制裁措置には激しく反発している。
トランプの対イラン制裁は帝国主義間争闘戦の果てしない激化と世界戦争の切迫をもたらす。労働者の国際連帯でトランプや安倍を倒し、戦争を阻止しよう。