横須賀で呉東弁護士講演会 3・11被曝米兵との連帯訴え

週刊『前進』02頁(2952号02面03)(2018/06/28)


横須賀で呉東弁護士講演会
 3・11被曝米兵との連帯訴え

(写真 教育労働者をはじめとした参加者が呉東弁護士の講演に聴き入った【6月10日 横須賀市】)

 「改憲・戦争阻止!大行進」横須賀実行委員会は6月10日、横須賀で反基地闘争に取り組む呉東正彦弁護士の講演会を行いました。「知っていますか?横須賀基地のこと 『3・11トモダチ作戦』での被曝米兵のこと」と題した講演を報告します。(以下、概要)

戦争準備進める「基地と核の街」

 ヨコスカは米海軍の海外基地として最大の出撃拠点であり、そのために危険と隣り合わせの街です。戦争体制の構築に向け横須賀港内でのヘリコプター着艦やオスプレイ飛来など、タブーを次々破っています。
 最も重大な問題は、出力20万㌔ワット、原爆と同じ濃縮度95%の原子炉を持ち、日本政府が全くチェックできない原子力空母「ロナルド・レーガン」の母港だということです。毎年4〜5月に定期修理をし、今年も5月11日から17日まで試験航行を行い、29日には日本海へ向け出撃。この試験航行では0%から100%への急激な出力上昇の後、急激に原子炉の運転を停止するという、最も危険な試験を行います。
 地震・津波が起こった場合、原子力空母の全電源喪失・冷却材喪失によるメルトダウンの危険は避けられません。米海軍基地から3㌔メートル圏内だけでも小・中・高等学校15校、幼稚園・保育園など24園、合計1200床以上に及ぶ三つの病院があります。福島の被害状況を当てはめれば、被害は400万人に及ぶと想定されています。さらに米国防省の新たな「核戦略見直し(NPR)」で小型核が横須賀配備のイージス艦や原潜に搭載されれば、核兵器持ち込みの危険性が再び出てきます。
 自衛隊の基地強化も進められ、市内各所で子どもを対象とした宣伝も繰り返されています。1月29日には市内で、核ミサイル爆発を想定した国民防護図上訓練も行われました。

事故原因は米軍のブラック化だ

 「フィッツジェラルド」や「マケイン」など、横須賀基地配備のイージス艦が立て続けに事故を起こしています。なぜ事故が頻発するのでしょうか?
 米本国では艦船の運行について、6カ月間は艦船修理、3カ月間は基礎訓練、その他に休息期間、運航・原子炉操作などの資格試験を行うなど、3年周期のローテーションが義務付けられています。ところが横須賀海軍は前線基地だという理由でローテーションを2年周期に圧縮し、訓練・休息を縮減し、無免許・無資格者に操舵(そうだ)をさせています。国際的緊張の中で勤務日数が2016年には162日と前年より52日も多く、1週間あたりの勤務時間は81時間規制を超えて108時間にも及び、無資格の乗組員率は7%から37%へと激増しました。こうした「ブラック」化が事故の原因です。

「トモダチ作戦」で被曝した米兵

 米原子力空母「ロナルド・レーガン」は11年の福島第一原発事故の際に行われた「トモダチ作戦」で福島原発の沖合に展開し、水や救援物資の輸送を行いました。放射能プルームに襲われ「金属の味がした」「俺たちは核のホロコーストのど真ん中にいる」と死の恐怖を抱きながら、ほぼ全期間、海水を飲料水とし、防護服もマスクも着けず甲板やヘリの除染を強制され、ダクト(通風管)の下にベッドがある兵士は四六時中放射能を浴び続け体内に放射能が蓄積されました。その後9人が死亡、白血病、脳腫瘍(しゅよう)、乳がん、子宮がん、脱力症、視力低下などの健康被害を受けた400人以上が東電などを提訴しています。米政府・米軍は下船時に「安定ヨウ素剤を飲んだ」ことにする偽装誓約書への署名を兵士に強要しました。
 被害者たちは貧困層です。資格を取ってステップアップしたい、学校に行きたいと軍隊に入った若者が病気になり、除隊し、保険もなく、収入もない状態で闘っています。福島にも同じような被曝者がいるし、被曝隠しの圧力がかけられています。被曝米兵と連帯し、福島の被害者と共に闘っていく課題です。
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 「改憲・戦争阻止!大行進」横須賀実行委員会は6・10講演会とデモをもって、横須賀から全国へ、沖縄、福島と連帯した大行進運動の巨大な爆発を開始しました。全国の労働者の「反戦の魂」を呼び起こす闘いを実現しましょう。
(実行委員・品川孝司)
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