焦点 イギリスで原発新設に動く日立 被曝を世界に広げる暴挙

週刊『前進』02頁(2950号02面04)(2018/06/21)


焦点
 イギリスで原発新設に動く日立
 被曝を世界に広げる暴挙


●英政府が2兆円を融資
 今月4日、日立製作所は英国への原発の新規建設推進に向けた覚書をイギリス政府と結んだ。19年度中の最終契約に向け、本格交渉に入った。
 2011年3・11福島第一原発事故を開き直り、さらなる被曝と原発事故の惨事を他国の労働者人民に広げる日帝の原発輸出は最悪の犯罪行為だ。絶対に許してはならない!
 計画は日立が2012年に買収した英原発子会社を通じ、原発2基を新規建設するもので、2020年代前半の稼働を目指す。日立は3兆円を超える建設費用や原発事故後に想定される巨額の経費への支援を日英両政府に求めている。英政府は2兆円超の融資を全額負担することをはじめとした支援策を表明した。日立はさらに、英政府が電力を高値で買い取ることや、原発事故が起きた際の損害賠償責任の限度などを巡り交渉を続けるとしている。イギリスでは緊縮財政のもと、教育や医療などの予算が減らされ労働者人民の生活が破壊されている。それなのに人々のためではなく原発でもうける資本のために、2兆円もの融資を行うことなど許せないという怒りが広がっている。
●官民一体で輸出を推進
 すでに日本政府は日立への全面的な支援を打ち出している。その目玉は政府系の国際協力銀行や3大メガバンクが総額1・5兆円規模の融資を行うことに加え、事故などによる貸し倒れに備え、日本政府がメガバンクの融資の全額を債務保証するというものだ。つまり原発事故などで日立が借入金を返済できなくなっても、負債は人民からむしり取った税金で肩代わりする。こんなでたらめがどうして許されるのか!
 安倍政権は海外へのインフラ輸出を、2020年までに2010年比3倍の30兆円まで拡大する目標を掲げる。その柱が原発と高速鉄道だ。海外への原発新設は安倍によるトップセールスを先頭に官民一体の「オールジャパン体制」で推進されてきた。だが11年3・11福島原発事故以降、計画は次々と頓挫している。
 アメリカでは東芝傘下の米ウェスチングハウス(WH)が4基新設を予定していたが1兆円を超える巨額損失を計上し経営破綻。東芝は海外原発事業から撤退した。三菱重工業が受注を予定していたベトナムでは住民の反対運動で白紙撤回され、13年に政府間で合意していたトルコでも事業費が5兆円規模に倍増し、事業化調査を延長中である。日立の受注が内定していたリトアニアでも国民投票で否決された。このままでは日帝の原発輸出は総破綻の危機にある。だからこそ日帝は、英国への輸出で突破口を開くことに帝国主義としての死活をかけ、のめり込んでいる。
●安倍取り巻く利権集団
 こうした中で、日立会長の中西宏明が経団連新会長に就任した。中西はJR東海名誉会長の葛西敬之らと共に、安倍晋三を囲む極右・巨大利権集団さくら会の構成員である。リニア新幹線を建設するJR東海には3兆円の低利子・無担保の財政投融資が行われ、原発を新設する日立の債務を政府が保証する。これが安倍政権とそれを取り巻く資本家どもの腐りきった正体だ。
 この腐臭を放つ集団のために、改憲も戦争のための軍備強化も、原発輸出も行われる。労働者人民には過労死地獄と総非正規職化の労働改悪、「痛みを伴う」社会保障破壊が強制される。巨額の税金を自らの懐に入れるやつらが、「消費税率を10%超に」とわめき、大増税を求めている。
 こんなやつらが支配する社会を根本から革命しよう。闘う労働組合を再生させるのは今だ。

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