韓国映画「共犯者たち」 検閲・配転に団結して抵抗、放送労働者の誇り貫く闘い

週刊『前進』04頁(2949号04面03)(2018/06/18)


韓国映画「共犯者たち」
 検閲・配転に団結して抵抗、放送労働者の誇り貫く闘い


 6月10日、都内で韓国の映画「共犯者たち」の上映会とチェスンホ監督のあいさつが行われました。本作は昨夏、「ろうそく革命」後も公営放送MBCをはじめとしたメディア労働者たちが「メディア積弊清算」を掲げて闘いを継続する中で上映され、大きな共感を呼びました。放送労働者の誇りに貫かれた力作です。
 チェスンホ監督はMBCプロデューサーとして多くの番組を制作してきましたが、2012年の170日間のストライキで解雇され、その後市民の支援で独立メディア「ニュース打破」を立ち上げて調査報道を継続してきました。
 本作は、08年のイミョンバク政権発足と同時に始まった政権によるメディア「占領」の生々しい様子と、労働者の長期にわたる闘いを丹念に追っています。番組の検閲や打ち切り、労働者の配転、政権に従わない社長の追放と新社長の送り込み……。抵抗するプロデューサーに妻は「一人でがんばっても、ついてくる人がいなければただの奇人で終わってしまう」と。しかし同僚たちは彼を一人にしませんでした。
 MBC、KBSの労組はそれぞれ100日を超える歴史的なストライキを闘い、ついに社長をたたき出しました。MBC労働者が新社長に選んだのは被解雇者のチェスンホ氏でした。
 監督は上映後のスピーチで「労働者たちは初め個別に抵抗したが、それぞれつぶされて終わってしまい、成功することはありませんでした。それで、労働組合のもとで連帯して闘うことを志向したのです」と、闘いの核心点を述べました。「日本のメディアは韓国よりもはるかによい状態だと思いますが……」という言葉に会場から飛んだ幾つもの異論。監督は、この声を韓国のように行動に転じてほしいと伝えたかったのだと感じます。
 「歴史を恐れてください」——当時のMBC労組委員長が、理事会に乗り込んで発した一言が胸に刺さります。スクリーンの中にあるのは、明日のNHKの風景です。
(佐々木舜)
このエントリーをはてなブックマークに追加