JRと闘い職場復帰へ 選別排除求めたJR総連 解雇要求決議が東労組の原点
JRと闘い職場復帰へ
選別排除求めたJR総連
解雇要求決議が東労組の原点
国鉄解雇撤回を求める動労総連合の新たな労働委員会闘争は、JR総連カクマルをも痛撃するものだ。
動労千葉組合員らの解雇を国鉄当局に強要したのは、鉄道労連(現JR総連)だった。
1987年1月28日、JRへの採用希望者は本州と四国では定員に満たないことが明らかになった。国鉄分割・民営化を前に吹き荒れたすさまじい不当労働行為により、大量の「希望退職者」が出た結果だった。
国鉄当局は、本州や四国では希望者全員をJRに採用するといったんは表明した。これに動労カクマルは猛反発した。分割・民営化に反対する動労千葉や国労の組合員がJRに採用されれば、国鉄当局の手先となり、「他労組解体」を叫んで陰湿ないじめで200人もの労働者を自殺に追いやったカクマルの裏切りは無意味なものになる。
動労や鉄労によって組織された改革労協は1月29日、「このままでは国鉄改革に敵対している者までも新事業体に移行せざるを得ない。正直者が馬鹿をみない(ママ)対処を求める」と国鉄当局を突き上げた。
2月2日、動労や鉄労は組織を統合して鉄道労連を発足させる結成大会を開いた。職員採用をめぐる国鉄当局との対立が表面化し、予定されていた杉浦喬也国鉄総裁の大会への来賓出席は取りやめられた。この大会で鉄道労連は、国鉄分割・民営化に反対する労組の組合員はJRに採用するなという決議を上げた。
その日の夕方、事態は一変した。鉄道労連結成記念レセプションに杉浦総裁が出席し、「皆さんの希望に沿えるようになった」と発言した。不採用基準による動労千葉組合員らの排除を国鉄当局は決断したのだ。
裏で動いたのは葛西と井手だった。彼らは、「過去に処分歴のある者は排除すべき」とJR設立委員長の斎藤を説得した。斎藤もそれに応じて、不採用基準を作るよう葛西らに命じた。
これを受け、国鉄職員局は採用候補者名簿から動労千葉組合員らの名前を削る作業を進めた。動労千葉が鉄建公団を訴えた裁判の証言で、国鉄職員局職員課補佐だった伊藤嘉道(証言当時、JR東日本高崎支社長)は、希望者全員が当初の名簿には載っていたが、葛西の指示でそれを削ったと述べた。伊藤はまた、現JR東日本社長の深沢祐二も、同僚として同じ作業にかかわったと証言した。
動労千葉組合員らの名前が削られた名簿は2月7日にJR設立委員会に提出された。2月12日の設立委員会第3回会合で不採用基準は正式に決定され、それに基づく名簿も了承された。設立委員全員が不採用基準の策定に関与したのだ。
この一連の事態は、鉄道労連が動労千葉組合員らの解雇を国鉄当局にねじ込んだことから起きた。資本と結託して生き延びてきたJR総連・東労組は、資本がその切り捨てを決断した途端に大崩壊した。その東労組の原点は、「労働組合」の名で労働者の解雇を求める大裏切りにあった。
第3の分割・民営化粉砕へ 葛西と深沢が首切りの実行者
JR資本は今、乗務員勤務制度の改悪を頂点に、大合理化を矢継ぎ早に打ち出している。鉄道業務の全面的な外注化と、外注先への転籍を労働者に強制する、第3の分割・民営化攻撃が本格的に始まったのだ。
乗務員勤務制度の改悪は攻撃の本丸だ。JR東日本がJR総連・東労組の解体に踏み切ったのも、それを強行するためだった。
「乗務員勤務制度の見直しについて」と題するJR東日本の提案は、①朝夕のラッシュ時間帯に短時間行路を設定し、今までは乗務することのなかった支社課員、当直、指導員に定期列車への乗務を指定する、②育児・介護のため短時間勤務を望む社員も、ラッシュ時間帯の短時間行路に乗務できるようにする、③短時間行路は乗務割交番から外す、④乗務割交番内の勤務は、拘束時間も実乗務時間も増やす、というものだ。
これは、育児・介護を口実に、乗務員そのものを解体する攻撃だ。支社課員の場合は、早朝に短時間乗務してから支社に出勤してデスクワークをし、夕方にまた乗務することになる。乗務労働を「片手間でできる仕事」として扱うというのだ。さらに、ワンマン運転の拡大と乗務員の大幅削減がもくろまれている。
JRの提案資料では、運転士や車掌は将来は「輸送サービススタッフ」になるとされている。JR東日本のある本社幹部は、「すでに無人運転ができる技術が開発されているのだから乗務員を特別扱いする必要はない。乗務員手当など廃止する」と公言しているという。乗務員を単なる保安要員にするということだ。
また、保線や車両の検査・修繕業務でも、IT機器で状態を監視するから検査自体をなくすという提案が次々に出されている。
こうした安全無視の発想の最たるものが、運転士も乗せず地上からの遠隔操作で超高速走行するJR東海のリニア新幹線だ。
国鉄1047名解雇撤回の新たな労働委員会闘争は、こうした第3の分割・民営化攻撃と真正面から対決する闘いだ。不採用基準による解雇に直接手を下したJR東海・葛西とJR東日本・深沢の証人喚問を実現できるような力ある運動をつくり出そう。
団体交渉の開催とJR採用の命令を求める千葉県労働委員会あての署名運動も始まった。不採用基準を不当労働行為と最高裁に認定させたのは、10万筆を超える署名と、度重なる最高裁前での集会の力だった。7・1国鉄集会に集まり、決戦の陣形を整えよう。
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鉄道労連が解雇要求決議
去る1月28日、希望調書の集計結果が明らかにされた。それによると、希望退職者が予測をはるかに超えて、3万人を突破したことにより、新会社に採用されない者はわずか4千人になったという。このため、本州3会社では、地域により定員割れをきたすといわれている。
このことが事実であるとすれば、国鉄改革に反対する不良職員が採用されかねない。しかし、このようなことは許されるものではないし、われわれは断じて許さない。
職員の採用にあたっては、改革に努力している職員と努力せず妨害している職員とを区別するのは当然であり、われわれはこのことを強く主張し、具体的処置を求め、全力をあげて闘う。
1987年2月2日
全日本鉄道労働組合総連合結成大会 特別決議
当初は全員を名簿に登載
Q;最初に名簿が来た段階では、停職6カ月以上あるいは2回以上という人は、まだ名簿に載っていたんですか。
A;それを外すという基準で名簿に載せないということは指示してませんでした。
Q;「採用基準不適合ゆえに名簿に載せないという判断となった」と葛西さんは書いているんですけれども、2月2日から2月7日の間にそういう判断をしたということなんですね。
A;最終的な判断はですね。
Q;名簿に載せるなという指示は、具体的には誰から来たんですか。
A;だから葛西さんです。
動労千葉鉄建公団訴訟での伊藤嘉道証言から
設立委が不採用を決定
新会社設立委員会は2月12日午後、運輸省特別会議室において第3回会合を開催し、「各会社毎の採用内定者」について協議・決定した。
名簿に記載しない者の考え方について 1983年4月1日以降の行為に対する懲戒処分として停職6月以上の処分を受けた者及び停職処分を2回以上受けた者。
対象人員 117名。 内訳 違法な争議行為 23名。1985年11月28~29日及び1986年2月15日の千葉労(ママ)による違法なストライキ。
JR設立委員会の議事録から