1047名解雇撤回へ労働委闘争 動労総連合 「葛西、深沢を証人に」
週刊『前進』04頁(2945号01面03)(2018/06/04)
1047名解雇撤回へ労働委闘争
動労総連合 「葛西、深沢を証人に」
(写真 動労千葉争議団の高石正博さん、中村仁さんと弁護団を先頭に、JR東日本に国鉄1047名解雇撤回の団体交渉を開かせるための千葉県労働委員会への申し立てを行った【5月28日 千葉市】)
動労総連合は5月28日、国鉄1047名解雇撤回へ、JR東日本を相手とする新たな申し立てを千葉県労働委員会に行った。申し立ての内容は、①解雇撤回に向けての団体交渉に応じること、②動労千葉争議団9人と動労福島宮城県支部の小玉忠憲さんを、JRが発足した1987年4月1日にさかのぼって採用したものとして扱うこと、③謝罪文の掲示、の3点だ。
国鉄分割・民営化から31年を経て、ついにJRに不当解雇の責任を取らせる画期的な闘いが始まった。それは安倍政権の改憲と戦争、「働き方改革」に真っ向から反撃する闘いだ。
国鉄分割・民営化に際し動労千葉組合員らをJRから排除するために制定された「不採用基準」が不当労働行為であることは、2015年6月の最高裁決定で確定している。その不採用基準は、JR設立委員長だった斎藤英四郎(当時、経団連会長)が策定を命じたこと、1987年2月12日のJR設立委員会の会合で不採用基準が決定されたことも明らかになっている。さらに、87年2月当時、運輸省職員局次長の葛西敬之(現JR東海名誉会長)の指示のもと、動労千葉組合員らの名前を採用候補者名簿から削り落とす作業を行ったのは、現JR東日本社長の深沢祐二だった事実も判明した。動労千葉はこの間、解雇撤回に向けての団体交渉をJRに求めてきたが、JRは「当社は当事者ではない」として拒否し続けている。だがもはやこんな言い逃れは許されない。
5月28日、動労千葉争議団と弁護団を先頭に、動労総連合の組合員と「動労千葉を支援する会」が千葉県労働委員会のある千葉県庁南庁舎前に結集した。代表団が労働委員会に申立書の提出に向かった。
その後、県庁近くの会場で記者会見が行われた。動労総連合の田中康宏委員長と動労千葉顧問弁護団長の葉山岳夫弁護士、藤田正人弁護士、野村修一弁護士が申し立ての趣旨を説明した。記者から熱心な質問が出された。今も国鉄労働者の解雇問題に対する社会の関心は失われていない。「JRの当事者性をどう主張するのか」という質問に、藤田弁護士は「葛西や深沢を証人に引きずり出して事実を確定させたい」と答えた。この闘争は、JRが現に強行している第3の分割・民営化を真正面から撃つものでもある。
記者会見後、同じ場所で千葉県労働委員会救済申し立て報告集会が開かれた。動労千葉争議団の高石正博さんと中村仁さんが発言し、高石さんは「不採用基準がなかったら私はJRにいた。その不採用基準が不当労働行為だった。これからもJRをただしていく」と表明し、中村さんは「不当労働行為である以上、絶対にJR採用を実現させる」と闘志をたぎらせた。
葉山弁護士が労働委員会の調査・審問への傍聴の組織化を訴えた。田中委員長は、「この闘いは過去の問題ではなく、今のJR体制を撃つ攻勢的闘いだ。乗務員制度の改悪をはじめとした第3の分割・民営化と対決し、改憲に立ち向かう闘いの柱にこの労働委員会闘争を押し上げよう」と闘いの意義を明らかにした。