爆撃の口実はでっち上げ 「シリア軍が化学兵器使用」のデマで戦争発動したトランプ
週刊『前進』02頁(2938号02面04)(2018/05/10)
爆撃の口実はでっち上げ
「シリア軍が化学兵器使用」のデマで戦争発動したトランプ
(写真 「シリア政府軍の化学兵器による攻撃を受けて子どもたちが治療を受けている」というデマの映像。米英仏の攻撃の口実に使われた)
米欧帝が育成した組織がビデオ作成
4月13日の米トランプ政権による巡航ミサイルでのシリア空爆はでっち上げに基づくものであった。安倍はこの空爆を支持した。絶対に許してはならない。トランプ政権はこの空爆を、シリア政府軍の航空機が塩素ガスを充填(じゅうてん)した爆弾で東グータ地区のドゥーマ市の住宅地を攻撃し、500人以上の子どもたちを含む多数の住民を殺害した非人道的行為に対するものだと主張した。だがその後、この事件がまったくのでっち上げであったことが明らかになりつつある。化学兵器が使われたことを証明するものとして世界に流されたビデオは「シリア民間防衛隊」(ホワイトヘルメッツ)によって撮影されたものであった。ホワイトヘルメッツはイギリスの諜報部門に所属していた英国軍人が2013年に欧米諸国から得た資金を使ってつくった組織だ。
米英独日などの政府はオランダのNGOを経由してホワイトヘルメッツに巨額の資金を供給している。その成員は反政府派であり、多数のアルカイダ系組織の成員が所属している。
この組織の主要な目的は、政府軍の残虐さを世界にアピールするだけでなく、でっち上げたり事実を改ざんしたりしてシリア軍やロシア軍の非人道的行為を誇大に伝えて帝国主義諸国の軍事的介入を引き出す役割を果たすことだ。
米帝や欧州帝国主義はこのホワイトヘルメッツの製作した「化学兵器使用で被害を受けた人びと」が病院で治療を受けているかのようなビデオを徹底的に利用し、宣伝してシリア政府弾劾のキャンペーンを張り、今回の米英仏によるシリア軍事攻撃を合理化した。
化学兵器による攻撃を受けて治療を受けているという場面が撮影されたのは、ドゥーマ市の病院である。このビデオでは化学兵器の被害者とされた患者が水をかけられ、酸素マスクがつけられた映像が流された。
ねつ造された映像であることは明白
だが、当日現場にいたシリアの医学生らによると、空爆で負傷した人びとが病院で治療を受けていると、突然多数の男たちが「化学兵器が使用された」と叫びながら病院に乱入し、子どもたちに水を浴びせたり、酸素マスクをつけさせたりしたとのことであった。男たちはその様子をビデオカメラで撮影していたが、撮影が終わるとすぐに撤退したという。またある少年は、病院の近くの建物の地下室にいたところ、「病院に行け」という声が聞こえたので病院に行った途端、何人かの男につかまり、水をかけられ、ベッドに寝かされてビデオを撮られたと証言している。北朝鮮にも同様の手口で開戦を狙う
米英仏は公式の機関による科学的な調査も行わず、このようにでっち上げられたビデオを利用して、塩素ガスなどの化学兵器が使われたと主張した。そして米英仏による空爆を「人道的配慮」に基づくものであるとともに「化学兵器に対する抑止的行動である」というペテン的な理由をつけて合理化した。昨年4月のシリアに対する米軍の巡航ミサイルでの攻撃も、政府軍によってサリンが使われたというデマに基づいて行われた。2003年のイラク戦争も大量破壊兵器の保有というデマを流して行われた戦争であった。そしてこれからも、帝国主義はこのように侵略戦争の根拠にデマを使うのだ。とりわけ今、朝鮮半島の南北分断体制打破へ朝鮮半島の労働者人民の歴史的闘いが動き出しているが、その中で米帝はこのようなでっち上げの手口を使って北朝鮮への侵略戦争発動を狙っている。
米帝こそ有志連合と共にシリア空爆を2万5千回も行い、数十万人のシリア人民を殺害し、シリアの人口の半分以上を国内外に難民化させた最悪の非人道的行為を行ってきた張本人だ。この最悪の侵略戦争を、戦時下で闘う中東の労働者人民と連帯する国際的な反戦運動の発展と帝国主義諸国の労働者階級の戦争阻止のストライキで阻止しよう。