トランプ・安倍が戦争会談 貿易めぐり日米の争闘戦激化

週刊『前進』02頁(2936号02面02)(2018/04/26)


トランプ・安倍が戦争会談
 貿易めぐり日米の争闘戦激化


 4月17、18日、訪米した安倍は、フロリダ州で米大統領トランプと会談した。首脳会談は対北朝鮮外交、通商問題の双方で安倍のすさまじい危機を示した。
 米朝首脳会談が6月初めまでに予定されているが、米帝の朝鮮侵略戦争の危機はけっしてなくなっていない。むしろ米帝は核兵器の使用も辞さないと宣言し、むきだしの戦争的圧力をもってキムジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長を屈服させようとしている。大統領補佐官(国家安全保障担当)のボルトンは指名のわずか1カ月前に、北朝鮮への先制攻撃は法的に正当だとする記事をウォールストリート・ジャーナルに寄稿した極右だ。
 さらにトランプは次期国務長官にCIA(中央情報局)長官のポンペオを指名し、大統領特使として極秘訪朝させた。米帝は核・ミサイルの全面放棄と武装解除のハードルを突きつけ、要求に応じなければいつでもキムジョンウンへの「斬首作戦」と体制転覆の戦争に訴えるぞと激しく北朝鮮を恫喝している。シリア政府軍施設への米英仏の攻撃は米朝会談を前に、朝鮮侵略戦争の予行演習としても行われた。
 トランプと安倍が会談で「様々な展開を想定し、具体的かつ相当突っ込んだ形で方針の綿密なすり合わせを行った」(安倍)ことは重大だ。戦争発動時、日米安保に基づいて自衛隊が全面的に参戦する方針を綿密にすり合わせたのだ。
■安倍外交は完全破産
 安倍はトランプに、北朝鮮への「最大限の圧力を維持」し「対話に応じるだけで見返りを与えてはならない」とクギを刺すことに力を注いだ。だが実際のところ、安倍は帝国主義的な外交から完全にずり落ちている。27日の南北会談、米朝会談を前に安倍は米国、北朝鮮、韓国、中国のいずれの国からも相手にされず「蚊帳の外」だ。
 安倍が焦るのは、トランプとキムジョンウンの間で日本を除いた合意に進むことだ。安倍は、米朝首脳会談で(日本を射程に含む)北朝鮮のあらゆる弾道ミサイルの廃棄、および拉致問題を提起するという合意をトランプから取り付け、とりわけ拉致問題でトランプが「『被害者の帰国へ向け最大限の努力をしていく』と明確に約束してくれた」と会談の成功を印象付けようとした。だが「最大限の努力」というトランプの口約束に何の意味もない。それを「成果」として確認せざるをえないほど、安倍外交は破綻している。
■関税適用除外されず
 特筆すべきことは、通商問題について、共同記者会見でトランプと安倍が相反する主張を展開し続けたことだ。大恐慌の激化と米帝を先頭とするむきだしの保護主義のもとで、日米帝国主義の対立と争闘が決定的次元に来ていることを示した。安倍が求めていた鉄鋼・アルミニウムの輸出に対する関税適用除外は拒絶された。逆に対米貿易黒字をトランプからなじられ、2国間の新たな貿易協議開始に追い込まれた。
 鉄鋼・アルミニウムの輸入制限からの除外についてトランプは、「対日貿易赤字は巨額だ。少なくとも年間690億㌦(約7兆4300億円)ある」「貿易協議で合意に達しない限り除外しない」とはねつけた。先月、欧州連合(EU)加盟国と、カナダ、メキシコ、オーストラリア、ブラジル、アルゼンチン、韓国が関税適用から除外されたが、日本はあくまで外さないと突きつけたのだ。
 貿易協議の米国側担当に指名されたライトハイザー・米通商代表部(USTR)代表は80年代の日米鉄鋼協議でUSTR次席代表として日本側に鉄鋼製品の自主的な輸出規制を認めさせた強硬派として知られる。日本市場のさらなる米資本への開放や規制撤廃、輸出制限などの圧力を強めることは不可避だ。
 トランプはまた、「米国製武器の販売を促進する」「納期をより短縮できるようにする」と表明し、〝もっと米国製武器を買え〟と露骨に迫った。さらに、「拒みようがない好条件でない限り、TPPには戻らない。2国間交渉の方がわが国にとって良い」と安倍を突き放した。
 トランプ、安倍のどちらも、国内では労働者人民の巨大な怒りの爆発に追い詰められ、政権倒壊の危機にある。体制的危機を深める安倍は、改憲と朝鮮侵略戦争への本格参戦へ一層凶暴に突き進む以外にない。アメリカ、韓国、全世界でストライキに立ち上がる労働者民衆と連帯して日本から9条改憲絶対阻止の闘いに立ち、安倍を打倒しよう。

このエントリーをはてなブックマークに追加