「働き方改革」を粉砕しよう 最大の攻防は職場の闘いだ

週刊『前進』02頁(2936号01面03)(2018/04/26)


「働き方改革」を粉砕しよう
 最大の攻防は職場の闘いだ


 安倍を主犯とする疑獄の数々が暴かれ、安倍政権は崖っぷちに立たされています。安倍は今国会を「働き方改革国会」とし、労働基準法制定以来70年ぶりの「大改革」を行うと豪語していました。しかし「働き方改革」関連法案は、審議入りのめども立っていません。労働者人民の力で法案を葬り去ることは可能です。そして、「働き方改革」をめぐる最大の攻防の場は、職場にあります。

日本郵政、社員の賃金を削る攻撃

 日本郵政は、転居を伴う転勤のない社員(一般職)に支給されていた住居手当を今年10月に廃止すると打ち出しました。労働者の減収は最大で年間32万4千円にもなります。また、正社員だけが支給対象だった年末年始手当てのうち年末手当を廃止し、寒冷地手当や遠隔地手当も削減するとしています。(表参照)
 非正規職の処遇引き上げではなく、正規職の賃金を引き下げて「格差を縮小する」というのです。JP労組中央はこれに同意を与えました。この事態は全産業に広がろうとしています。
 これが安倍の叫ぶ「同一労働同一賃金」の正体です。正社員をなくし、すべての労働者を生活できない低賃金に突き落とすことが、その狙いです。
 今春、有期雇用労働者に無期雇用への転換権が発生することを逆手にとって、自動車大手や大学など数限りない職場で雇い止めが強行されました。この不当な仕打ちに抗議し、解雇を阻止した闘いも各地で起きました。しかし、それをはるかに上回る労働者が生首を切られた事実を、けっして見過ごすことはできません。彼らの悔しさ、怒りは抑え込まれ、ないもののように扱われています。「解雇自由」は、すでに社会を覆う現実になっています。
 しかも、無期転換されても、最低賃金ぎりぎりの労働条件は変わりません。それでは「一生非正規のままでいろ」と通告されたに等しいではないですか。
 その先にあるのは、戦場で命を落とせという攻撃です。こんな社会のあり方は安倍政権もろともぶっとばさなければなりません。

セブン労働者が労働委申し立て

 安倍政権と資本は、「働き方改革」で残業代をゼロにし、労働者を過労死するまで働かせようとしています。断じて許せません。
 それだけでなく、すべての労働者を「フリーランス」にし、あらゆる労働法規の適用外に置くことがたくらまれています。
 フリーランスの典型がコンビニのオーナーです。オーナーで組織された労働組合の組合員が、中労委で証言した中身がマスコミで報道されました。それによれば、福井県でコンビニを営むオーナーは2月、豪雪に見舞われた際も、フランチャイズ本部から営業継続を指示され、50時間、一睡もできずに働いたということです。しかも、オーナーの妻が過労で救急搬送されているにもかかわらず、本部は営業の停止を認めなかったというのです。
 この過酷な実態が示しているのは、閉店する権限さえ奪われたコンビニのオーナーは、フランチャイズ本部の指揮命令下に置かれた労働者にほかならないということです。しかし本部は、オーナーは個人事業主だとして一切の雇用責任をとりません。配車アプリのウーバーなどに登録し、その指示で商品を配達する労働者も、個人事業主として扱われ、事故に遭っても労災保険も出ない状態を強いられています。
 「働き方改革」とは、今は正社員の労働者も含め、全労働者を同じ状態に突き落とそうとするものです。
 この現実に対する闘いも始まりました。千曲ユニオンは、セブン―イレブンの社員でオーナーの処遇改善を求めたことを理由に不当配転させられた組合員の配転撤回などを求めて長野県労働委員会に不当労働行為の申し立てを行いました。

団結とストこそ現実打ち破る道

 労働者がこれほどひどく扱われるようになったのは1987年の国鉄分割・民営化からです。JRの運転士などで組織された労働組合の動労千葉は、これと果敢に闘ってきました。JRは鉄道業務のすべてを外注化し、外注先の労働者を最低賃金ぎりぎりで働かせて、さらに利益を上げようとたくらんでいます。これに対し動労千葉は、外注化阻止のストライキに立つとともに、外注先の非正規職労働者も組織して、その劣悪な労働条件を打破するために闘っています。
 人手不足で休みも取れず命を奪う長時間労働を強いられ、まともな賃金も支払われない。この現実を打ち破るのは、労働者の団結とストライキです。今こそ職場に闘う労働組合を取り戻しましょう。5・1新宿メーデーをともに闘おう。

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日本郵政グループは社員への支給を大幅に削減
今春闘で決まった内容

住居手当 転居を伴う転勤のない社員(一般職)への支給を廃止。非正規は支給せず
年末年始勤務手当 年末手当は廃止。年始手当を非正規職にも支給
寒冷地手当 支給額を削減。非正規職には支給せず
遠隔地手当 支給額を削減。非正規職には支給せず
扶養手当 継続して協議

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