新やぐら裁判 市東さん農地「買収」は無効 弁護団が追及

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週刊『前進』04頁(2935号03面04)(2018/04/23)


新やぐら裁判
 市東さん農地「買収」は無効
 弁護団が追及


 4月16日、新やぐら裁判が千葉地裁民事第2部(内田博久裁判長)で開かれた。この裁判は、市東孝雄さんの天神峰の畑に建てられたやぐら・看板などの四つの物件について、成田空港会社(NAA)が反対同盟に対し、「収去と土地の明け渡し」を求めて提訴したものだ。弁護団は準備書面の陳述と求釈明を行い、NAAの農地買収が無効であり、明け渡しを要求する資格がまったくないことをあらためて突き出した。
 NAAは「空港施設用地に転用することを目的にして市東家の耕作地の底地を地主から買収した」と主張するが、「買収」当時の1988年、平行滑走路、誘導路などの工事予定はなかった。転用許可申請の時点で詳細な事業計画の提出と審査が義務付けられるにもかかわらず、天神峰には5戸、東峰には8戸の農家が存在し、着工時期、完成時期などの具体的計画など立てようもなかった。
 さらに、転用目的の農地買収には、小作人の「小作権放棄」の同意が不可欠だ。だが、NAAの前身である空港公団は、旧地主・藤﨑から南台農地の底地を市東家に無断・秘密で買収した際に、「所有権移転登記を行うまでの期間、小作料を藤﨑が取得する」との覚書まで交わしていた。「買収」の事実をひた隠しにするため、藤﨑は今まで通り市東家から地代を受け取れということだ。15年も経過してNAAは市東さんに対し「土地は買収した。賃貸借契約は終わりだ。明け渡せ」と言い出した。なんという卑劣なやり口か!
 そもそも空港公団の住所は当時都内にあった。この土地取得は「不在地主」による小作地所有であり、農地法違反だ。「不在地主」の違法状態を農業委員会が認めた時は、国が強制的にその土地を買収し、そこを耕作している人に最優先で売り渡さなければならない。だがNAAはひたすら自分の悪事を隠ぺいし続けてきた。このような違法・脱法を重ねていながら、いかなる法的根拠で自分が地主だと言い張るのか、NAAは釈明してみろ。請求をただちに取り下げろ!
 弁護団は、「公団は天神峰農地の旧地主・岩沢との間でも、藤﨑と同様の覚書を交わしていたことは明らか」として文書提出命令申し立てを行い、現時点で18人に及ぶ人証調べの計画を裁判所に提示した。
 NAA代理人は終始うつろな表情で、傍聴席から怒声を浴びた。
 近くの会場で開かれた報告集会(写真)では、葉山岳夫弁護士を筆頭に弁護団がこの日の争点を解説。動労千葉の滝口誠さんと「市東さんの農地取り上げに反対する会」が連帯発言を行った。最後に決戦本部長の太郎良陽一さんが、4月22日の天神峰カフェと7・8天神峰樫(かし)の木まつりへの参加を呼びかけた。

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三里塚裁判日程
◎第3誘導路裁判
 4月24日(火)
 午前10時30分 千葉地裁
◎耕作権裁判
 5月14日(月) 午前9時
 千葉市中央公園集合
 市内デモ
 10時30分開廷 千葉地裁

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