仏鉄道労働者がスト 3カ月の長期闘争に突入

週刊『前進』02頁(2932号02面02)(2018/04/12)


仏鉄道労働者がスト
 3カ月の長期闘争に突入

(写真 ストに決起した国鉄労働者と公務員労働者の統一デモ【4月3日 パリ】)

(写真 職場集会を開くパリの国鉄労働者【4月3日】)


 フランス全土でマクロン政権と国鉄労働者を先頭とする労働者階級が激突している。政権の鉄道改革計画に反対するCGT(労働総同盟)、Unsa(自由労組)、SUD(連帯労組)、CFDT(仏民主労組総同盟)の各鉄道部門(鉄道4労組)が4月3日から6月28日まで5日につき2日ストライキを行う方針のもと、長期決戦に突入したのだ。

公共部門労働者と学生も連帯し

 第1日の4月3日と翌日の2日間、TGV(都市間高速列車)は8本に1本、TER(地域圏急行輸送)は5本に1本が運行したのみ。国鉄労働者たたきにもかかわらず、乗客からはスト支援のカンパが集まっている。次の2日間ストは4月10〜11日である。
 これに先立って3月22日、国鉄労働者など公共部門労働者への12万人解雇計画に抗議する統一行動がパリをはじめ全国で闘われ、50万人が参加した。同日、SUD―Rail(鉄道)は無期限ストを宣言、単独でストを決行した。TGVは5本に2本、TRANSILIEN(パリ近郊交通)は2本に1本、TERは3本に1本が運休した。RER(パリ周辺の郊外列車)は30〜40%の運行となった。
 国鉄労働者と公務員、教育労働者、医療労働者が共同の隊列を組んで全国50カ所でデモを行った。2月以来、企業寄りの大学改革に反対してパリをはじめ全国数都市で大学を占拠して闘ってきた学生たちも「鉄道労働者とともに闘おう!」と合流した。さらに2月以来、賃上げを要求して闘っているエール・フランス労組も3月22日、管制塔労働者、地上勤務労働者がスト、30%の便が運航を中止した。
 4月3日には清掃(ごみ収集)、電力、ガス労働者がストで連帯し、エール・フランス労組が第4波ストに突入。大学生が高校生と共に引き続き決起した。

民営化・労組破壊攻撃に徹底抗戦

 2月26日に発表された国鉄改革計画は、フランス国鉄を現在の鉄道公社から株式会社に転換し、「資本の自由な競争」の場に変えるために、その障害となる国鉄労働者の既得権を新規採用者から廃止するという攻撃である。しかもそれを国会の審議・議決によらず、政府の政令で強行するとした。
 これに対して鉄道4労組は3月15日、「公共事業としての鉄道業務の解体と労働者の権利の破壊であり、国鉄労働者への宣戦布告である」と共同声明を発し、長期闘争を開始した。
 フランス国鉄の民営化は、1995年に労働者の闘いで粉砕されて以来実現できずにきたが、マクロン政権は、貨物部門の赤字の巨額化を理由に公共企業体の株式会社化・分社化、ローカル線の切り捨てなどをてこに、雇用・賃金・労働条件・退職・年金・解雇・団結権などすべての領域で鉄道労働者の既得権を奪い、労働運動を破壊する攻撃に踏み込んできた。「国鉄職員としての特別の身分・資格」を新規採用者を手始めに奪うことが要だ。
 マクロンは、EU(欧州連合)が「第4次鉄道計画」でフランス国鉄の国際的自由競争への門戸開放を2019年から実施することを義務付けていることに基づいて攻撃に出てきた。
 フランス国鉄は、1938年の人民戦線の敗北と同時に6大交通会社の統合によって成立した。第2次世界大戦下、ナチス・ドイツのフランス占領に対し、国鉄労働者は「鉄路の闘い」と呼ばれるレジスタンスを闘い、800人の労働者が処刑された。戦後革命期にはスターリン主義・フランス共産党の制動に抗してゼネストの先頭に立った。
 新自由主義の国鉄民営化攻撃と闘ってきた英独の鉄道労働者など欧州の労働運動は、今回のフランス国鉄決戦を「1984年のサッチャーと炭鉱労組との決戦のフランス版だ」として注目し、連帯を開始している。全世界で国鉄決戦が新たに開始されたのだ。

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