〝放射能はもう安全〟のデマ 『福島差別本』に怒り沸騰

週刊『前進』04頁(2929号03面03)(2018/04/02)


〝放射能はもう安全〟のデマ
 『福島差別本』に怒り沸騰


 今年1月発行された『しあわせになるための「福島差別」論』に怒りが沸騰しています。本紙2921号(3月5日付)でも批判したように、この本は「放射能安全」「福島安全」のデマをあおるものであり、絶対に許せません。3・11反原発福島行動の成功の一方で、デタラメな「復興」応援集会と化した3・17楢葉集会の破産が示すように、日本共産党をはじめ体制内勢力の転落の象徴として、『福島差別本』を徹底的に批判することが必要です。

保養参加者と避難者への悪罵

 この本のもっとも許せない点は、「放射線による健康影響を心配する必要はない」(94㌻)と、福島の放射能汚染と被曝の現実を真っ向から否定していることです。さらに「小児甲状腺がんも含め、被曝の健康被害が限りなくゼロに近かった」(64㌻)と、小児甲状腺がんや各種の健康被害が被曝の影響ではないとし、甲状腺検査の縮小・廃止まで主張しています。
 加えて、保養参加者と避難者に次のような卑劣な悪罵を投げかけています。「子どもを『安全な場所』に保養に出すという行動は、福島が『危険な場所』であることを認める行動……。それは農産物の生産者を苦しめ、保養に子どもを出していない親を苦しめ、福島で子育てをしているすべての親を苦しめる」(20㌻)、「福島原発事故の被害とは、実のところ、放射線被曝によるものではなく、避難生活に起因するもの」(41㌻)。保養参加者と避難者を口汚くののしるものであり、断じて容認できません。
 3・11郡山集会は、執筆者の清水修二・福島大学名誉教授らのこうしたデマに怒る避難者や保養団体・保養家族、甲状腺がん患者の家族らの総決起の場となり、福島圧殺の狙いを根底的に粉砕しました。

労働者民衆の分断図る共産党

 清水ら、これまで「自分は反原発の立場」などと言っていた連中がなぜ、ウソを平然と書けるのか。
 昨年12月12日、安倍政権・復興庁は「風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略」なるものを発表しました。この文書は「福島県では放射線の安全性が確保されている」と強調しています。そのうえで「風評被害が根強く残っている」「偏見や差別が発生」と問題をすり替え、それは「放射線に関する正しい知識の理解の欠如」があるからだとねじ曲げます。そして「関係省庁においては、本戦略に基づき……風評払拭に全力で取り組む」と結論づけます。「放射能は安全」と、福島と全国に振りまくということです。
 『福島差別本』の中身は復興庁文書とうり二つです。筆者たちは安倍政権の意を汲み、復興庁の「戦略」を率先して実行しているのです。中でも清水修二と、日本共産党系の原水爆禁止世界大会実行委員会運営委員会共同代表であり共産党の原水禁運動の中心人物の野口邦和は重要な位置を占め、責任は重大です。
 帝国主義の核政策を認め「原子力の平和利用」を主張してきた日本共産党は、3・11後、その反省もなく口先だけ「原発ゼロ」などと語ってきました。それが今、本性をむき出しにし福島の労働者民衆に対して「放射能は安全だ」と襲いかかっているのです。
 それは福島をめぐる攻防が資本主義体制そのものをめぐる問題となっているからです。3・11福島原発事故(核惨事)と、広範な放射能汚染、とくに内部被曝が被害者の健康と命を奪う恐るべき現実は、核と人類が共存できないことをあらためて突きつけています。この怒りが、戦争・改憲攻撃への怒りと重なり合い、資本家の支配を打ち倒すまで大発展しようとしています。安倍政権・資本家階級は自分が打ち倒されることに恐怖し、「放射能安全」論で社会を覆い怒りを鎮めようと焦っています。
 共産党も同様に、労働者民衆の怒りと行動が共産党の制動を突き破って体制打倒まで発展することを恐れ、労働者民衆を分断し圧殺しようというのです。
 動労水戸や動労福島、ふくしま共同診療所のように被曝と帰還の強制を許さず闘い、常磐線の全線開通を阻止しましょう。改憲を絶対に阻み、戦争(核戦争)を止め、労働者民衆の未来を切り開くときです。
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