欠陥台車の使用を継続 新幹線事故を居直るJR

週刊『前進』04頁(2927号02面02)(2018/03/26)


欠陥台車の使用を継続
 新幹線事故を居直るJR

肉厚不足でも強度に問題なしと強弁

 JR西日本が昨年12月11日に起こした新幹線のぞみ34号の大事故について、2月28日、川崎重工とJR西日本の社長らが記者会見をした。
 事故車両の台車のひび割れは底面から146㍉に達し、あと30㍉進めば台車は分解、車両は脱線・転覆して大破し、大惨事になるところだった(図参照)。のぞみが博多駅を発車した直後に異常が発生し、その後30件もの異変が察知されたが、連絡を受けた列車指令などがその情報を握りつぶし、列車は3時間以上も走行を続けた。
 新幹線の「安全神話」は崩れた。尼崎事故で107人の命を奪ったJR西日本とJR体制の「利益優先、安全破壊」の姿が、再び表面化したのだ。
 台車を製造した川崎重工は記者会見で、「肉厚8㍉の台車枠に軸バネ座を溶接する工程で、規定に反して底面を最大3・3㍉削り、台車枠の厚さは4・7㍉になった。これによる強度不足が亀裂を生み出した」と謝罪した。また、台車枠は外注製品で、寸法の調整を優先したこと、作業班は外部の協力会社も含め40人で、1600台の台車製造を班長1人の指示で行ったことなどを明らかにした。
 同日、JR西日本の来島達夫社長も記者会見し、2007〜10年に川重から購入した303台の台車のうち、事故台車を含む101台に削りすぎがあり、22台で溶接部に傷があったと公表した。だが、傷がある22台のうち「傷が微細」な6台は使用を継続し、底面の肉厚が足りない100台のうち12台は取り換え済みだが、残る88台は「強度に問題がないので」そのまま運行に使い、これらの台車は「通常の交番検査」で順次取り換えると居直った。
 JR東海も05年から12年にかけて川重から130台を購入し、肉厚不足の台車は46台に上ることが明らかになっている。

高速走行のための軽量化が根本問題

 欠陥台車は、川重製のものだけではない。JR東海の子会社の日本車両が製造した台車4台で、溶接部に傷が見つかった。うち2台はJR東海に、2台はJR西日本に納入された。JR東海は「傷と厚さ不足の二つがそろわなければ亀裂はできず、安全性に問題はない」と言い放ったが、JR両社はすでにこの台車を取り換えている。
 この事実は、川重の作業工程だけでなく、台車の設計に根本的な欠陥があることを示すものだ。JR東海が設計・製造を主導した新幹線車両N700系は、スピードアップのため床下機器は極限まで軽量化されている。3月17日のダイヤ改定でJR東海は東京―新大阪間の「のぞみ」の所要時間を3分短縮したと宣伝するが、その裏には恐るべき安全の破壊がある。
 その最たるものは、JR西日本やJR東海が、欠陥のある台車を「安全」と言い張り走らせ続けていることだ。事故を起こしたJR西日本が「メーカーに製造時の検査確認と品質保証を求めたい」とうそぶき、全責任を川重に押し付けていることは許されない。
 事故車両の台車の亀裂について、JR西日本は2月28日の記者会見で「相当の時間をかけて進展した」と述べた。だが、それ以前にJR西日本は、「事故前日の仕業検査でも、当日の目視検査でも亀裂は見つからなかった」と発表していた。ならば亀裂は、事故当日にごく短時間で進んだことになる。こうした重大な矛盾を解明しないまま、運行が強行されているのだ。
 JR西日本は異常を感知しながら事故車両を3時間以上も走らせた。これが最大の問題だ。検修要員を削減する一方、「安全より定時走行」を現場に強制してきたのはJRだ。そのJR西日本で、総額20億円もの残業代不払いが発覚した。
 国鉄分割・民営化による「利益最優先」がこの事態を生んだのだ。99年の鉄道事業法の改悪など、国土交通省による規制緩和も、安全破壊に拍車をかけた。
 JRは大事故・大惨事に向かって突っ走っているとしか言いようがない。それを止めるのは反合理化・運転保安確立への現場労働者の決起だ。動労西日本は2波の春闘ストライキを貫徹した。動労千葉は千葉検査派出の要員削減をたくらむJR東日本の安全破壊の攻撃と対決している。JR総連・東労組の大崩壊情勢下、全国で動労総連合を拡大しよう。
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