知る・考える 用語解説 卸売市場法の改悪-大資本が市場を民営化・私物化
週刊『前進』02頁(2924号02面04)(2018/03/15)
知る・考える 用語解説
卸売市場法の改悪-大資本が市場を民営化・私物化
生鮮食料品などを扱う卸売市場の開設・取引を規定する卸売市場法の廃止・全面改悪が安倍政権によってたくらまれている。「規制をゼロベースで見直す」(規制改革推進会議)と議論され、法廃止に等しい全面改悪案が3月6日に閣議決定された。
最大のポイントは中央卸売市場の開設に関して「都道府県や人口20万人以上の市が国の認可を受けて開設する」という制限をなくすこと。民間資本でも「中央卸売市場」を名乗り開設できる。市場は公共のものではなくなり、大資本が私物化する。卸や仲卸に関する規定も削除、「せり売り」や「市場外取引の禁止」など売買取引の規定も廃止され、開設者が自由に取引ルールや施設の使用料を定める。農漁業者を直撃し、食の安全と命よりも資本の利益が優先される。卸や仲卸は市場から排除され、一握りの巨大資本が独占支配する物流拠点となる。市場労働者の大量解雇、また卸売市場業務に携わる自治体労働者の解雇・任用換え、労組破壊をもたらす。
そもそも中央卸売市場法は、ロシア革命の影響を受け米騒動が爆発する中で、労働者民衆の革命が現実化することを恐れた支配階級が、革命を圧殺する目的で制定したものだ。だが、同時に労働者や農漁民、流通に携わる業者などが闘って強制した「合理的」な仕組みでもあった。戦後、71年に卸売市場法が制定された。その後、99年と04年の2度の改悪で大幅に規制緩和され、今日に至る。