生活困窮者の共同住宅火災 JR地方切り捨てが命奪う 〈投稿〉 札幌 J・S
生活困窮者の共同住宅火災
JR地方切り捨てが命奪う
〈投稿〉 札幌 J・S
1月31日に札幌市東区の生活困窮者支援を目的とした共同住宅「そしあるハイム」が全焼し、11人が死亡してから1カ月がたつ。入居者16人は40〜80代の男女で、少なくとも13人が生活保護を受給し、体の不自由な人もいた。暖房用の1200㍑の灯油に引火し、建物全体が火に包まれるまでわずか5分。スプリンクラーはなく、1階の窓には木材が打ち付けられて脱出できなかった。(写真)
札幌市は、老人福祉法上の有料老人ホームには当たらず、社会福祉法上の「無料低額宿泊所」にも当たらず、福祉関連の現行法で位置づけのない施設だ、と国に報告した。運営会社「なんもさサポート」は入居者募集を行わず、路上生活者の支援団体や精神科の病院、警察が入居者を紹介していた。
厚生労働省によると、「そしあるハイム」のような施設や住居は全国で1236あり、入居者は1万6578人だが道内は307カ所、3868人で全国最多だ。自治体別でも全国1位は札幌市(195カ所)、2位は旭川市(87カ所)。「無届け有料老人ホーム」も道内は409カ所で全国最多、全1207カ所の3分の1だ。
なぜ北海道に集中しているのか。地方切り捨ての国鉄分割・民営化以降、路線の切り捨てや減便で交通弱者が生み出され、交通弱者は生活困窮者となっているからだ。
政府は今国会で社会福祉法などを改正し、優良な自立支援に取り組む無料低額宿泊所に困窮者の生活支援を委託し、財政支援も行うというが、対象はごく一部。また、防火体制や個室面積の最低基準について強制力のある改善命令を出せるようにするという。だが、設備投資によって家賃が上がって利用者が行き場を失う可能性もある。
生活弱者が膨大に生み出され、劣悪な住環境を余儀なくされ、命さえ奪われている。JR北海道の半分の路線廃止でさらに交通弱者が生み出される。こんな社会は根底から変革されなければならない。