Jアラート訓練は戦争への道

発行日:

週刊『前進』04頁(2921号04面02)(2018/03/05)


Jアラート訓練は戦争への道

(写真 17年12月1日に弾道ミサイルを想定して福岡市で行われた避難訓練)

(写真 戦時中の1943年、小学校の防空訓練で地面に伏せる子どもたち。戦時中の防空訓練は国民の命を守るためではなく、国土防衛に国民を動員するためのものだった。今も同じだ)

公務員動員し危機あおる

 3月14日午前11時、内閣官房と総務省消防庁によるJアラート全国一斉情報伝達訓練が実施される。情報伝達が確実かどうかの訓練だけでなく、「各地方公共団体独自の訓練」を重ねて、子どもたちや労働者・住民に避難行動を求めるとしている。
 戦争国家体制をつくるためであり、自治体労働者や教育労働者をその手先に仕立て上げる攻撃だ。戦争の危機をあおり、9条改憲を良しとする機運をつくろうとするものだ。全国の職場や地域から、何よりも労働組合が「断固反対!」の怒りの声を上げよう。
 Jアラートによる一斉情報伝達訓練は2012年から始まった。Jアラートは有事法制の一つである国民保護法(武力攻撃事態等における国民保護のための措置に関する法律)によるものであり、そもそもが戦争を想定したシステムである。「国民の保護」と称しているが、戦前の防空法や国家総動員法と同様、労働組合を産業報国会化し、国民を国の戦争体制に組み込むためのものだ。
 昨年11月14日にも全国一斉情報伝達訓練が実施された。実際には、避難行動訓練も同時に行われた。例えば福井市では、「弾道ミサイルを想定した『ミサイル発射』の訓練放送を防災無線の屋外スピーカーから流します。市民の皆さまは、有事に備えて、会社、学校、外出先等で避難行動訓練の実施をお願いします」という事前通知があり、当日は次のように行われた。
 ①「こちらは福井市です」。チャイムを鳴らし、「ただ今から、訓練放送を行います」。②サイレンを14秒。③「訓練。訓練。ミサイル発射。ミサイル発射。ミサイルが発射された模様です。建物の中、または地下に避難してください」。②③を3回繰り返す。④「これは、訓練放送です。こちらは福井市です」。⑤チャイムを鳴らして終了する。

労働組合から抗議の声を

 3月14日はどうか。放送内容はチャイムと「これは、Jアラートのテストです」「こちらは、〇〇〇です」の繰り返しのみとしているが、「防災無線のスピーカー及び小中高等学校・公民館・幼稚園・保育所等に設置している戸別受信機」から「最大音量で約1分程度放送」する。そして「地域には回覧板などを通じて、防災無線が聞こえたら、屋内では窓から離れる、屋外では建物の中に避難するなどの動作をとるように依頼している。学校や保育園では、個々の施設の判断で、机の下に隠れるなどの対応をお願いする通知が出ている」(杉並区危機管理対策課)ので、授業中の避難行動が強いられる。
 文科省は2月14日、「学校の危機管理マニュアル作成の手引」を改訂、「弾道ミサイル発射に係る対応」を追加して前面に押し出し、「関係機関(警察、消防、自衛隊など)との連携強化」や「自治体の避難訓練と合わせた取り組み」を教育現場に強制している。
 Jアラートをめぐる闘争は、改憲・戦争を阻止する現実の闘いだ。攻防はこれから必ず激化していく。Jアラートによる戦争動員を粉砕できれば、改憲も朝鮮侵略戦争も阻止できる。「改憲・戦争阻止!3・25大行進 in HIBIYA」への訴えと一体で、職場や労働組合で反対決議をあげよう。動員・強制を拒否しよう。広範な抗議の声を組織していこう。

このエントリーをはてなブックマークに追加