難民を収容・送還するな生きるための来日を迫害 戦争・改憲へ外国人排斥強める安倍

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週刊『前進』04頁(2919号04面01)(2018/02/26)


難民を収容・送還するな
生きるための来日を迫害
 戦争・改憲へ外国人排斥強める安倍

昨年の難民認定者はわずか20人

 2月12日、法務省は昨年1年間で日本で難民申請をした外国人が1万9628人だったと発表した。この数は、初めて1万人を超えた16年(1万901人)から8727人増加し、過去最多となった。(図参照)
 しかし、昨年の難民認定者は20人(!)、「難民と認定しなかったものの人道的な配慮を理由に在留を認めた」(法務省入国管理局)と称する45人を加えても65人に過ぎない。難民認定者にはエジプト5人、シリア5人、アフガニスタン2人、特別在留者にはシリア4人、ミャンマー3人、イラク2人、コンゴ民主共和国2人が含まれる。
 世界中で戦争・紛争―迫害を逃れ、避難を余儀なくされた避難民・難民は7千万人にも及ぶ。難民問題は、領土・資源の争奪、強盗戦争でしか生きられない新自由主義世界における最大の矛盾なのだ。
 安倍政権は2月8日、2600万円の税金を使ってベトナムに「チャーター機」を飛ばし、「不法入国・不法滞在」とされたベトナム人47人(8〜49歳の男女、在日歴21年5カ月の人も)を強制送還した。法務省は今回も「訴訟中や難民申請中の人は含まれない」と発表したが、47人中24人は過去に難民申請をしたことがあったという。法務省関係者は「強制送還は急増する難民申請の乱用を防ぐことにつながる」とうそぶいている。

「出稼ぎ目的」と難民申請認めず

 法務省は、急増した難民申請者を「出稼ぎ目的」「不法滞在の抜け道」と決めつけ、「難民認定制度の適正化のための更なる運用見直し」を打ち出した。そして、これまで正規滞在の難民申請者すべてに認めてきた審査期間中の在留や就労を制限するとし、1月15日に運用を始めた。
 今、難民申請の却下決定、即、入管収容所(収容場)への収容・再収容が激増している。子どもたちの目の前で父親・母親を収容する、結婚式の当日に青年を収容するなど、いかに打撃を与え、絶望に突き落とすのかを目的にした所業が繰り返されている。長期収容と強度のストレスによる発病、医療の不備は命を奪うにまで至っている。
 なぜこれほどまでに日本の入管行政は在日・滞日外国人に対し過酷なのか。
 それは何よりも、近代日本がたどってきた侵略と台湾・朝鮮の植民地支配、中国―アジア侵略戦争の歴史を反省するどころか肯定してきたことによる。そして安倍政権が、日本軍慰安婦制度や強制連行など日本帝国主義の戦争犯罪をなかったことにし、「戦争ができる国」へと改憲に躍起となっているからだ。
 日本の侵略戦争と植民地支配の生き証人である在日朝鮮人・中国人に対し、謝罪も補償もせず、潜在的内乱勢力と位置づけ、徹底した治安管理の対象としてきたのが日本の入管体制だ。

外国人労働者と団結し安倍倒せ

 しかし、日本は深刻な労働力不足に直面している。東京五輪のインフラ整備のため、時限緊急措置で外国人技能実習生と、技能実習を終えて帰国した労働者を呼び戻して働かせている。さらに、国家戦略特区で外国人の農業就労を解禁する新制度を導入しようとしている。
 外国人労働者の定住・移民を拒否しながら、必要な時だけ働かせ、必要なくなったら出て行けというのか。資本の都合のいいようにはさせない。外国人労働者は人間だ! 新自由主義は全世界に資本の墓掘り人としての労働者を生み出したのである。
 安倍政権の改憲・戦争政治と一体で進められる在日・滞日外国人、難民・難民申請者への攻撃を許すわけにはいかない。彼らの怒りと結び、入管法・入管体制を食い破って存在する外国人労働者と共に闘おう。
〔革共同入管闘争組織委員会〕
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