賃金制度の抜本改悪許すな 1日8時間労働で食える賃金を
週刊『前進』02頁(2918号02面01)(2018/02/22)
賃金制度の抜本改悪許すな
1日8時間労働で食える賃金を
18春闘は雇用・労働破壊と一体の、賃金をめぐる重大な攻防となった。安倍政権と経団連は「働き方改革」の柱として、賃金制度の抜本改悪=賃金破壊に踏み出してきた。連合がその先兵役を担おうとしている。「3%賃上げ」を唱え「働き方改革による生産性向上が賃上げにつながる」と言う安倍の大ペテンを粉砕しよう。全労働者は団結し、一律大幅賃上げ、1日8時間の労働で食える賃金を求め春闘ストに立とう。
闘いぬきに生活守れない
連合・御用労組の総屈服のもとで、労働者の非正規職化が進み、賃金はどんどん下げられている。日弁連の集計では、2016年度の地域別最低賃金は全国加重平均で時給823円。週40時間働いても年収は172万円にしかならない。そうした最低賃金水準のパート労働者が08年の45万人から14年には130万人に激増している(グラフ参照)。増え続ける社会保険料や税金が追い打ちとなり、民間研究機関の試算では「手取り」の維持だけで1・5%の賃上げが必要だという。しかし厚生労働省が2月7日に公表した速報値では、17年の実質賃金は前年より0・2%減。闘いぬきに生活は守れない。
しかし自動車総連の高倉明会長は、「100年に1度の大転換期でグローバルでの競争も激しい。簡単な交渉にはならない」と発言した。業績は好調だが自動運転などに多額の投資を迫られているから昨年を上回る要求はしないという。これが労働組合の言葉だろうか。日産とスバルは一時金の要求を昨年より下げた。鉄鋼最大手の新日鉄住金労組も「先行きの不透明感」などを理由にベース(基本給)アップ要求を昨年より500円下げて月3500円とした。
「企業の利益確保と生産性向上が土台」——これが連合・御用労組幹部の発想法だ。経団連の2018年版経営労働政策特別委員会報告(経労委報告)は「(連合と)考え方・方向性が一致している」「良好な関係をさらに深化させていく」と露骨に表明した。
しかし「働き方改革による労働生産性向上で賃金が上がる」というのは真っ赤なうそだ。マルクスが1865年の講演で暴いたとおり、「資本家と労働者は……労働者が新たにつくり出した価値部分を分けるしかないのだから、一方が多く取れば他方の取り分は少なくなる」(『賃金・価格・利潤』)。資本は労働者をこき使い、安く大量に効率よく搾り取ろうとする。それが資本の言う「労働生産性向上」だ。そのために外注化・非正規職化を進め、評価基準で労働者の分断と競争をあおり、賃金を引き下げようとする。抵抗する労働組合の団結を破壊し、必要なくなった労働者は無慈悲に首を切るのだ。
「同一賃金」で総非正規化
資本と労働者は非和解である。連合が投げ捨てた春闘スト、労働組合の団結と闘いが絶対に必要だ。経労委報告は〝正社員か否かという二元論は多様な働き方の拡大を妨げるから「非正規」という呼称は避けるべきだ〟とした。正社員をなくすということだ。その立場から「同一労働同一賃金」のための雇用のあり方に言及し、年功制ではなく仕事・役割・貢献度を基軸とする「賃金制度の抜本的見直し」を主張した。賃金破壊の歴史的攻撃だ。
裁量労働制は「定額働かせ放題・残業代0プラン」と言われる。残業代が固定されることで、企業はいくら働かせても残業代を上乗せする必要がなくなる。
「定額働かせ放題」の裁量労働制拡大
安倍政権は6日、この裁量労働制について「契約社員や最低賃金で働く労働者にも適用が可能」とした。働き方改革一括法案の柱として、裁量労働制を法人向け営業業務に広げ、非正規職にも適用する。残業時間の設定次第では最低賃金以下にもなる、長時間労働と超低賃金がセットの「過労死・最低賃金以下」法だ。厚労省は「兼業・副業」も解禁した。個人事業主とすることで最低賃金も残業代も労災補償もなくなる。兼業・副業抜きには生活できない労働者を大量につくり出すことと一体だ。
ストで一律大幅賃上げを
安倍の戦争・改憲と労働改悪、大量解雇を許さない闘いが火を噴いている。無期雇用転換しても最低賃金並みだ。多くの労働者が「残業代が減ったら食っていけなくなる」低賃金に苦しんでいる。団結を固めストに立とう。大量解雇阻止・非正規職撤廃、一律大幅賃上げへ闘おう。