最高裁が住宅追い出し決定 京都 東三条に続き崇仁も

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週刊『前進』04頁(2915号04面02)(2018/02/12)


最高裁が住宅追い出し決定
 京都 東三条に続き崇仁も

水平同盟つぶし狙う

 この間、最高裁は京都で闘われてきた二つの住宅追い出し反対裁判での上告を棄却した。
 12月21日には第1小法廷・大谷直人裁判長が東三条のBさんの上告を棄却した。1月19日には第2小法廷・鬼丸かおる裁判長が崇仁(すうじん)のAさんの上告を棄却した。12月13日の大阪地裁による高槻・植木団地追い出し裁判での「損害賠償金3億円を払え」という仮執行付き反動判決に続く暴挙だ。
 追い出し絶対反対を貫く全国水平同盟はこの棄却決定を徹底的に弾劾するとともに、住宅追い出しを先端とする更地化攻撃を粉砕する決意を固めている。
 安倍政権は朝鮮侵略戦争に突進しているが、労働組合の団結や地域の共同体をつぶさなければできない〈無準備性〉にのたうち回っている。全国水平同盟の闘いは戦争で資本主義を延命させようとあがく安倍政権を打ち倒す闘いだ。戦争への怒り、住宅や生業の場からの追い出しへの怒りを一層拡大していく闘いだ。
 安倍と資本家階級は天皇制を押し出し早期改憲を狙っている。そこに弱点があり、改憲との闘いの最先端に更地化との闘いがあるから、敵は追い詰められて焦り、上告を棄却したのだ。だがBさんとAさんを分断して全国水平同盟崇仁・東三条支部をつぶすという敵のもくろみはくじかれた。

分断破り団結広がる

 京都市は東三条の市営住宅に住むBさんに対して、Bさん名義の部屋とBさんの亡母名義の部屋の両方から追い出すために裁判に訴えた。しかし、大阪高裁はBさん名義の部屋からの追い出しは認めなかった。Bさんは長年住み慣れた本来の自分の部屋である亡母名義の部屋を取り戻すために上告した。今回、これに対して棄却決定が出されたのだが、そもそも京都市はBさん名義の部屋からの追い出しは断念せざるを得ず、上告できなかったのだ。
 一方、崇仁の市営住宅に住むAさんについては、大阪高裁が追い出しを認めて二人を分断しようと画策した。しかし、裁判闘争の過程で全国水平同盟崇仁・東三条支部が結成され、二人の団結は強固なものとなった。支部の闘いは、分断と団結破壊を狙った敵の思惑を根底から粉砕しているだけではない。Aさんの闘いに励まされて、崇仁の店舗付住宅に住むCさんが「身体を張ってでも自分の家と店を守る」と新たに支部に結集したのである。
 これまで京都市は、既成の部落解放運動体の屈服を取り付けて、全面的な更地化、民営化・非正規職化を推し進めてきた。これに対して、住宅をめぐる裁判闘争を通して崇仁と東三条で絶対反対の旗が打ち立てられ、運動と組織の拡大の結集軸になってきた。

崇仁保育所移管阻む

 住宅闘争は崇仁保育所の移転・民営化に反対する闘いにもつながっている。崇仁保育所は、地域の住民と保護者が行政からかちとった地域の団結の要であり「シンボル」である。全国水平同盟と地元の合同労組、ユニオン自立が保育所の移転・民営化反対に立ち上がったことで、そこで働く保育労働者との団結が生まれ、2018年度移管・民営化を阻止した。
 「民営化の特急列車」を呼号し更地化を進める京都市にとって、住宅闘争と保育所の民営化でつまずいたのは致命的だ。労働者と住民の決起を甘く見ていたのだ。地域を分断すれば、更地化がスムーズに貫徹できるなど思い上がりもはなはだしい。地域住民の怒りを甘く見るな! 保育労働者の底力を思い知ったか!
 闘いはこれからだ。上告棄却をものともせず、奪われたものはすべて取り戻す新たな闘いのステージに進もう。この社会を変えるために前進しよう。東三条への住宅取り上げの強制執行を許すな! 団結の拡大ですべてを取り戻すぞ!
(京都 朝霧広巳)
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