焦点 平昌五輪と米日の朝鮮戦争策動 かぎを握る韓国人民の闘い

週刊『前進』02頁(2914号02面03)(2018/02/08)


焦点
 平昌五輪と米日の朝鮮戦争策動
 かぎを握る韓国人民の闘い


●五輪後直ちに米韓演習
 2月9日に韓国で開幕する平昌オリンピックをめぐって、韓米連合司令部は1月4日、韓国で例年2月末から3月に開始している米韓合同軍事演習「フォール・イーグル」「キー・リゾルブ」を延期し、五輪終了後に行うことを決定した。また、五輪への参加をめぐって韓国と北朝鮮との対話が再開され、南北を結ぶ陸路3カ所も再び開通。統一旗を掲揚しての開会式入場や南北単一チームの結成も決まり、南北選手団の合同練習も行われた。
 しかし、こうした動きは決して、朝鮮侵略戦争が回避されることを意味するものではない。むしろ米トランプと日帝・安倍政権は、戦争突入への衝動をますます高めている。五輪に先立って米空軍は主力爆撃機をグアムに集結させ、北朝鮮への威嚇を継続している。
 トランプが1月30日に行った就任後初の一般教書演説では、対北朝鮮政策を最重要課題に位置づけ、「非道な独裁政権」キムジョンウン(金正恩)体制に対して「最大限の圧力をかける」と明言した。2月2日には「核戦略見直し」(NPR)を発表し、通常兵器による攻撃にも核で報復することがありうると明示。新型の小型核弾頭の開発も進めるとした。朝鮮半島での核先制攻撃―核戦争突入を想定したものだ。
 もっとも許しがたいのが安倍だ。政府は3日、NPRを「高く評価する」と発表し公然と賛美した。安倍は、ムンジェイン(文在寅)との首脳会談とセットで9日の開会式への参加を決め、なんとその場で、パラリンピックの閉会後速やかに米韓合同軍事演習を実施するよう求めるとしている。さらに、日本軍軍隊慰安婦問題をめぐる「日韓合意」の履行も要求するという。
 安倍は世界戦争・核戦争に突き進むトランプを公然と支持し、朝鮮侵略戦争への自衛隊の参戦を狙っている。労働者の怒りでグラグラになりながらも、20年の東京五輪に向かって改憲の強行に突き進む安倍は、そのためにも平昌五輪をとことん活用しようとしている。
●革命の継続が情勢を規定
 情勢を根底で規定しているのは、前大統領パククネを打倒した「ろうそく革命」の完遂をめざす韓国の労働者人民の闘いである。
 社会を根底から変革する「積弊清算」を求める闘いは終わっていない。パククネは弾劾され監獄にたたき込まれたが、大部分の支配者たちは今なお権力機構の中枢に居座っている。こうした構造の一切を覆そうと、「労働積弊清算」を掲げる民主労総を先頭とした不屈の闘いが続けられている。これこそが、朝鮮半島での開戦を狙う米日帝国主義と真っ向から対決し、阻止している力だ。そしてこの闘いは本質的・不可避的に、最大の積弊である朝鮮の南北分断体制の打破を求めるものへと発展する。
 こうした中でムンジェイン政権は結局、革命の圧殺のために一方では米韓合同軍事演習を促進し、他方ではキムジョンウンの核ミサイル政策推進をも促進する最悪の役割を果たしてしまっている。
●戦争とめる力は労働者に
 現下の米日帝の朝鮮侵略戦争の危機の根源にあるのは最末期帝国主義の底なしの危機であり、北朝鮮スターリン主義の反人民的な核ミサイル開発が格好の口実となっている。
 38度線をはさんで今なお続く戦争を終わらせ、トランプと安倍による新たな戦争を阻止する力は、団結した労働者の中にのみある。
 韓国の労働者民衆と固く団結し、戦争への広範な怒りをひとつに束ね上げよう。今国会で戦争・改憲への突進と労働改悪を狙う安倍を引きずり下ろそう。

このエントリーをはてなブックマークに追加