農民殺す安倍「農業改革」 資本の参入で自作農つぶす 「働き方改革」と一体で粉砕を
農民殺す安倍「農業改革」
資本の参入で自作農つぶす 「働き方改革」と一体で粉砕を
2018年は安倍政権の戦争・改憲攻撃との戦後最大の決戦の年となった。「働き方改革」やJR大再編攻撃と並んで、安倍政権は農業改革を重要政策にしている。安倍は、昨年の臨時国会で「農政改革は地方創生の切り札」と言い切り、年明けの通常国会冒頭の施政方針演説では「農林水産業全般にわたって改革を力強く進める」と宣言した。今国会には10本以上の農業関連法案を提出しようとしている。18年度は減反(コメの生産調整)制度が廃止され、日本農業と農民にとって間違いなく大変動の年となる。
農民への保護撤廃し資本の支配に道開く「農業の成長産業化」
安倍は第1次政権(06〜07年)で「戦後レジームからの脱却」=改憲を掲げた。第2次政権で、成長戦略として雇用、医療、農業の3分野の「岩盤規制打破」をぶち上げた。戦後的枠組みが残っている3分野の全面破壊を狙ってきた。
解雇や働き方を規制する労働者保護。建前として資本の利潤追求が制限されている医療。そして農地解放によって生み出された自作農保護。これらの破壊は、改憲と一体の攻撃である。
安倍の言う「農業の成長産業化」とは何か。自作農が農地を所有し経営をすることが最も望ましい農業の形態とする「自作農主義」を解体し、資本(企業)を農業分野に全面的に参入させることである。農林水産省は15年に195万人だった農民を25年には50万人程度にする計画だ。農民壊滅の攻撃である。農水省は13年に、60歳以下の農業就労者は25年には90万人になると試算している。
現在の攻撃は、農業版「国鉄分割・民営化攻撃」と言ってもよい。戦後的農民支配に固執する自民党農林族と全国農業協同組合(JA)などの農業団体と官邸主導の規制改革会議が真っ向から激突している。支配階級内部で分裂しながら、さらなる新自由主義攻撃が農業・農民に襲いかかっている。
4月から施行されようとしている種子法廃止は育種の民営化であり、米モンサント社など巨大農業資本の種子独占への道である。JAや酪農の指定団体の解体は、小規模の自作農を守る役割を果たしてきた協同組合を破壊する。企業が農地を所有することを解禁する一方、三里塚芝山連合空港反対同盟の市東孝雄さんに対する農地強奪攻撃に見られる、「耕すものに権利あり」として制度化された耕作者主義の破壊など。戦後農政の全面的破壊である。
18年度の減反廃止と生産コスト4割削減で窮乏・離農は必至
重要なのは、新自由主義が社会崩壊を招くことが明らかになり、破綻した上でのさらなる攻撃だということである。だから、安倍の農業改革に期待を膨らませる農民、農業労働者など一人もいない。
1971年から開始された減反政策とは、コメの輸入を受け入れ米価を安定させるための、国による強制的生産削減である。各種補助金をエサにし、約4割の田んぼで主食の米作りが奪われてきた。
18年度からこの制度が抜本的に変わる。国・農水省はコメの需給目標を示すだけで、JA中心の民間組織が生産目標を決めるようになる。同時にコメの直接支払交付金(減反目標を達成した場合、10㌃あたり7500円)がなくなる。
減反廃止はコメの安定生産・価格安定の保障を政府が放棄することを意味する。すでに日帝・農水省はコメの生産コストを60㌔あたり9600円まで引き下げようとしている。現在の1万6千円水準から4割もの削減である(図参照)。現在でも生きられない状態にある農民が離農に追い込まれるのは必至だ。
全国農民の怒り組織し、労農連帯の力でプロレタリア革命へ
農民の怒りが沸点に向かう一方で絶望も生み出している。資本主義を前提にした、その枠内での既成の農民運動がまったく対抗できなくなっている。
労働者、農民、全人民の未来は〈資本主義の打倒〉=〈資本の運動に支配されない社会をつくること〉にある。労働者が社会を再編成し、共産主義社会を形成する。労農同盟を形成し、プロレタリア革命と共産主義社会の建設にこそ農民の生きる道がある。
全国の闘う農民は労農連帯の旗の下に、労働者とともに改憲・戦争阻止と国鉄闘争を闘おう。新自由主義攻撃を打ち破っている国鉄闘争、日本革命の鍵である国鉄闘争に勝利しよう。切迫する朝鮮侵略戦争絶対反対! 参戦へ突進する安倍政権を打倒しよう。
農民闘争組織委員会は、以下を3大方針として18年決戦を闘う決意である。
①安倍の農業改革粉砕! 全国農民の怒りをプロレタリア革命へ組織する。②階級的労働運動と一体の、革命的農民運動=全国農民会議の飛躍的発展をかちとる。③三里塚反対同盟との血盟にかけ、市東さんの農地を死守し、第3滑走路建設を粉砕する。
18〜20年決戦を階級的労働運動を軸に、プロレタリア革命の勝利に向け労農同盟を発展させよう。
〔革共同農民闘争組織委員会〕
------------------------------------------------------------
▼種子法廃止 「主要農作物種子法」は米・麦、大豆の優良種子の生産・普及を都道府県に義務付ける法律(1952年制定)。安倍内閣は、「農業の競争力強化」の名目で種子法廃止法案を、ろくな審議もせず17年4月に可決・成立させた。18年4月に施行されようとしている。稲の種子の研究開発と供給に公的支援の根拠がなくなる。多国籍企業が種子を支配し、地域農業を破壊することへの危機感が広がっている。