原子力規制委 除染目標値の緩和を画策 「現在の目安は帰還を阻害」と
週刊『前進』04頁(2911号03面02)(2018/01/29)
原子力規制委
除染目標値の緩和を画策
「現在の目安は帰還を阻害」と
(写真 フレコンバッグの山が目の前の飯舘村の住宅【昨年9月】。被曝線量緩和で、もっと汚染の激しい地にまで帰還させようとしている)
避難指示解除の加速化が狙いだ
安倍政権・原子力規制委員会が、除染の目安となる被曝線量を大幅に緩和しようとしている。福島第一原発事故後に国が除染の長期目標としている年間1㍉シーベルトを1時間あたりの空間放射線量に換算した「0・23㍃シーベルト」の見直しへ突進し出したのだ。1月17日の定例会合で、原子力規制委の更田豊志委員長が「毎時0・23㍃シーベルト以上の所に居住すると、年間1㍉シーベルトを超えてしまうという誤解を生む」「(基準を)あらためないと復興や住民の帰還を阻害する」などと述べた。伴信彦委員は「推計式が過大評価されており、実際は(年間被曝量の)15%に過ぎない」とした。国の放射線審議会は、除染の目安の数値が妥当かどうか議論し、関係省庁への提言をまとめる。
政府は15年に、福島県民は一般公衆の被曝限度とされる年間1㍉シーベルトの20倍の年間20㍉シーベルトまで被曝させても良いとし、帰還困難区域を除く県内の避難指示を次々と解除してきた。だが、避難指示を解除しても放射能は残っており、ほとんどの住民は帰還を拒否している。
この現実に対し、規制委員会は〝毎時0・23㍃シーベルトまで除染するという目安があること自体が帰還を阻害している〟として大幅に緩和する方針を打ち出したのだ。それによって帰還の強制をさらに進め、帰還困難区域に指定された区域の避難指示解除の加速化をも狙っている。
さらに更田は、1月11、12日に楢葉町・双葉町首長との会談で、福島第一原発で発生する汚染水を「浄化」した後の放射性物質トリチウムを含む処理水を希釈して海洋放出する方針を伝えた。〝原発構内のタンクの貯蔵はあと2、3年が限界だ。それに間に合うように今年中に東京電力が海洋放出の意思決定をすることが必要だ〟というのである。
被曝に許容基準など存在しない
政府・原子力規制委のこうした攻撃は、日帝が原発・核武装政策にしがみつくために、福島と全国・全世界の人民をどこまでも被曝させて構わないというとんでもない大犯罪だ。被曝に許容される基準などない。「一人の労働者の被曝も許さない」立場で労働組合が闘うことが求められている。福島原発事故から丸7年を前に、被曝と帰還の強制をめぐる攻防が重大な局面に入っている。
その最先端がJR常磐線の全線開通を阻止する闘いだ。JRは公共交通の使命を投げ捨てローカル線の本数削減・廃止を進める一方で、人間が生活してはならない高放射線地帯に鉄道を通し、帰還困難区域での20年3月までの営業運転再開も強行しようとしている。
動労水戸は労働者・住民に被曝と帰還を強制する常磐線の全線開通絶対阻止の何波ものストライキに立ち上がっている。動労水戸とともに、全労働組合の課題として被曝と帰還の強制と闘おう。そのためにも、3・11反原発福島行動に全国から大結集しよう。