焦点 イラン全土に拡大した抗議デモ 労働者が歴史的反乱開始

週刊『前進』02頁(2908号02面03)(2018/01/18)


焦点
 イラン全土に拡大した抗議デモ
 労働者が歴史的反乱開始

(写真 イランの首都テヘランで怒りの反政府デモに立ち上がった労働者人民【2017年12月30日】)


●貧困層からデモ拡大
 昨年12月28日、北東部のイラン第2の都市マシュハドの貧困地帯で、インフレや高失業率(12%。若年層は20%を超える)、補助金の削減、政府の腐敗に抗議するデモが開始された。
 抗議デモは瞬く間にイラン全土に拡大し、大規模化した。多数の都市で国の出先機関、警察署、銀行などが労働者人民によって襲撃された。その規模は2009年の大統領選挙の際に起きたアフマディネジャド大統領弾劾のデモ以来最大規模となった。
 しかも経済的要求だけでなく、政府によるシリア、イラクなどへの介入戦争政策、宗教指導層や経済エリート層の汚職・腐敗、労働者人民への矛盾のしわ寄せに対して、激しい怒りをぶつけた。デモ参加者は当初貧困層が多かったが、次第に政府の強引な新自由主義政策と労働運動弾圧、労働組合弾圧に怒った労働者や学生が多数参加するようになった。多くの女性もデモに参加した。
 1979年イラン革命以後蓄積されてきたイランの労働者人民の怒りは、現体制そのものに対する怒りへと発展し、ついには最高指導者ハメネイの辞任を求める前代未聞の事態にまで発展した。
 これに対してイラン政府は、激しい危機感をもって弾圧を開始。今年1月10日までに治安部隊によって22人が殺され、600人以上が逮捕された。SNSやインターネットなども遮断され、治安部隊による大規模な事後弾圧も開始されている。
 1月13日現在、反政府デモはいったん鎮静化しているが、労働者人民の怒りは激しく、開始された歴史的反乱は質的量的に巨大な規模になろうとしている。
●米帝の反革命的介入
 シリアやイラクに政治的軍事的に介入して影響力を拡大してきた米帝は、ロシアやトルコなどと並んで米帝の中東政策の障害となってきたイラン政府の転覆を狙って、密かに活動を展開してきた。今回、イランの労働者人民の歴史的反乱の開始に直面した米帝は、イスラエルやサウジアラビアと共同して反政府運動への反革命的介入を強化している。
 米帝はイラン政府を崩壊させ、シリアに対して行ったような侵略戦争を仕掛けようとしているのだ。トランプもデモ参加者を支持するツイートを繰り返し、「アメリカは適切な時期に大きな支援をするだろう」とコメントして大規模介入をほのめかしている。
 反動的政権を打倒する歴史的反乱を開始したイランの労働者人民と連帯しよう。イランへの反革命的介入政策のエスカレーションによって中東に新たな戦火を放つことを狙う、米帝トランプ政権の中東侵略戦争を国際連帯の力で打ち砕こう。

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