安倍の年頭会見を弾劾する 「今年こそ改憲の提示を」と宣言 「働き方改革」法案の成立も狙う

週刊『前進』04頁(2907号03面01)(2018/01/15)


安倍の年頭会見を弾劾する
 「今年こそ改憲の提示を」と宣言
 「働き方改革」法案の成立も狙う


 1月4日、安倍は伊勢神宮(三重県伊勢市)を参拝後に記者会見を行い、「今年こそ改憲に向けた議論を深める」と改憲衝動をあらわにした。また22日召集の通常国会を「働き方改革国会」と位置づけ、関連法案の成立を図る意向を示した。戦争・改憲と労働法制大改悪をめぐる2018年決戦の火ぶたが切られた。

改憲スケジュールの前倒しを要求

 安倍は伊勢市で行った記者会見で、「北朝鮮の脅威に備える自衛隊の諸君の使命感、責任感に敬意を表する。従来の延長線上ではなく真に必要な自衛力の強化に取り組む」と冒頭から発言し、自衛隊の大幅増強を始めとした朝鮮戦争への参戦準備を最優先で取り組む意図をあらわにした。さらに「今年こそ憲法のあるべき姿を国民に提示する」として、衆参憲法審査会での議論と与野党の合意形成を急ぐよう促した。
 安倍が「今年こそ」と強調したのは、この間の改憲スケジュールの立ち遅れを巻き返そうとする焦りの表れだ。安倍・自民党は、通常国会で予算審議が終わると見られる3月をメドに自民党内の改憲案をとりまとめ、さらに「19年夏までの国会発議」と想定した当初のスケジュールを大幅に前倒して、18年内に国会発議→19年4月天皇代替わりの前に国民投票を強行する構えを見せている。
 だが、焦りに駆られた安倍の改憲衝動は、むしろ戦争・改憲絶対反対の怒りを広範に生み出している。新聞社などが加盟する日本世論調査会が12月9、10日に行った調査では、憲法9条改憲は「必要ない」との回答が53%で過半数を超え、「必要だ」と回答した41%を上回った。改憲の国会論議を「急ぐ必要はない」は67%だった。昨年秋以降、北朝鮮に対する政府・マスコミを挙げての排外主義キャンペーンが吹き荒れ、Jアラート(全国瞬時警報システム)を使った戦争動員攻撃が繰り返されたにもかかわらず、労働者民衆の安倍への怒りと戦争・改憲反対の決意はまったく解体されていない。追い詰められているのは安倍の方だ。
 また政府の調査では、昨年8、9月の北朝鮮のミサイル発射に際し、Jアラートを受けて避難した人はわずか5%にとどまり、94%以上が避難しなかったことが判明した。理由は「避難しても意味がない」が最多で46%(9月)にのぼった。この状況に安倍政権は焦りを深め、Jアラートによる戦争動員を「100%化」するために、政府の主導で全国の自治体や学校を総動員した訓練を強制しようとしている。自治体労働者、教育労働者の戦争反対の闘い、労働組合としての決起がいよいよ決定的だ。

朝鮮戦争参戦狙い敵基地攻撃能力も

 安倍は改憲策動と並行して「従来の延長線上ではない自衛力の強化」、すなわち敵基地攻撃能力に相当する巡航ミサイルの保有・開発やヘリ搭載型護衛艦「いずも」の空母化(戦闘機を艦載可能に)などへ次々と踏み込もうとしている。米軍と一体化した軍事演習も一線を越えて激化することは不可避だ。
 すべては朝鮮戦争への突入・参戦を想定した動きである。沖縄などで異常な頻度で相次ぐ米軍機の事故・不時着も、米軍が本気で朝鮮戦争突入を狙い、訓練を激化させていることが背景にある。改憲阻止闘争は、まさに米日の朝鮮戦争策動との日常的対決であり、戦争・改憲への渦巻く怒りの中心に闘う労働組合をよみがえらせる決戦だ。
 同時にそれは、天皇代替わりを契機とする天皇制攻撃との対決である。安倍の伊勢神宮への年頭参拝は6年連続となる。伊勢神宮とは、「皇祖神(=天皇の先祖)」とされる天照大神を祀(まつ)った神社であり、明治政府によって国家神道の本宗(ほんそう)とされて以来、天皇制の精神的支柱となり、戦争と侵略の象徴となってきた(なお江戸時代までは、天皇と伊勢神宮は何の関係もなかった)。第2次大戦中、昭和天皇ヒロヒトが自ら足を運んで「戦勝祈願」に参拝した唯一の神社も伊勢神宮だった(1942年12月)。
 安倍もろとも、労働者の怒りのゼネスト―革命で天皇制を打倒しよう。
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